【香港時事】2019年に香港で起きた反政府デモをめぐり、無許可集会扇動罪などで服役していた民主活動家、周庭氏(24)が12日午前、出所した。周氏は昨年8月に国家安全維持法(国安法)違反の疑いでも逮捕されており、当局の捜査次第で今後起訴される可能性もある。

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 周氏は19年6月、中国への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案に反対し、警察本部を包囲する抗議集会を扇動したなどとして、昨年12月に禁錮10月の実刑判決を受けた。受刑態度が良好だったため刑期が短縮され、前倒しでの出所となった。

 今年2月には、代理人を通じ「刑務所を出たら、少し身体を休ませたいと思っています」とツイッターに投稿。弁護士によると、現在は「取材対応には消極的」という。12日朝には、服役していた施設周辺に約100人の報道陣が詰め掛けたが、周氏は無言で迎えの車に乗り込んだ。

 周氏はその後、自身のインスタグラムに一面真っ黒の画面を投稿。雨の中集まった支援者をねぎらい、「苦痛の半年がやっと終わった。とても痩せて弱ってしまったので、これからゆっくり休んで体調を整えます」とつづった。

 周氏の国安法違反容疑は「外国勢力と結託し国家の安全に危害を加えた」というもの。当局は、日本など各国の注目を集める周氏のインターネットやメディアを通じた発言を問題視している。出所後も、周氏は以前のような自由な言動を封印せざるを得ないとみられる。

 周氏は、著名民主活動家の羅冠聡氏や黄之鋒氏とともに、14年の民主派による大規模デモ「雨傘運動」で中心的役割を果たした。流ちょうな日本語を話し、海外での知名度も高い。19年に頻発した反政府デモでも、自ら抗議活動に参加したり、ネット交流サイト(SNS)で民主派の主張を発信したりしていた。