[ロンドン 24日 ロイター] – イングランド銀行(英中央銀行)は24日まで開いた金融政策委員会で、経済活動の再開に伴いインフレ率が3%を超えるとの見通しを示したものの、中銀の目標水準を超える物価上昇は「一時的」とし、政策金利と資産買い入れ枠を現行水準に維持することを決定した。
金融政策委は9対0で政策金利を過去最低水準の0.1%に据え置くことを決定。社債買い入れ枠を200億ポンドに据え置くことも全会一致で決定した。国債買い入れ枠の8750億ポンド(1兆2200億ドル)での維持は8対1で決定。資産買い入れ枠は8950億ポンドに維持された。
国債買い入れ枠については、ハルデーン理事が500億ポンドの削減を提案。2回連続での反対となった。同理事は今月、退任する。
一部では、より多くの反対票が投じられるとの見方も出ていた。反対票が多ければ、新型コロナウイルス感染拡大への対応として導入された大規模な支援策の解除を巡る討議が中銀内で加速している兆候となる。
ただ、新型コロナ感染が再拡大し、欧州連合(EU)離脱を巡る緊張も解消しない中、中銀は現時点で支援策を引き揚げる必要はないと強調。声明によると、大部分の金融政策委員が「見通しに対する下向きリスクに留意し、金融情勢の尚早な引き締めで回復が頓挫することがないようにする」との認識を示した。
金利先物は、中銀が2022年8月に主要政策金利を0.25%に引き上げる確率が100%であることを示す水準にある。
バリダス・リスク・マネジメントのグローバル市場担当プリンシパル、マーク・コグリアッティ氏は「景気回復の兆候が示される中、中銀が22年下半期に利上げに着手するとの予想を変えていない」としながらも、「インフレ率が中銀の目標を根強く上回り、予想通りに低下しなければ、中銀がより早い段階で行動を起こすことは正当化される」と述べた。
英国立統計局(ONS)が16日に発表した5月の消費者物価指数(CPI)は前年比2.1%上昇。伸び率は2019年7月以来の大きさで、中銀が目標とする2.0%を上回った。
中銀は「エネルギーを含むコモディティー価格の上昇が主な要因となり、CPIは目標を一段と超えて上昇し、一時的に3%を上回る公算が大きい」とし、「一過性の可能性がある要因よりも、むしろ中期インフレ期待」を注視していく姿勢を示した。
中銀は先月、インフレ率は21年終盤に2.5%に達し、その後は2%に戻るとの見方を示していた。
経済成長率については、今年第2・四半期の成長率予想を5月時点の見通しから約1.5%ポイント上方修正。ただ中期的な成長も加速するかについては、中銀内で見解が分かれた。中銀は物価動向に注目しながら、失業率の上昇についても警戒している。