中国の習近平(シーチンピン)国家主席は中国共産党の結党100周年の記念式典となる1日、天安門広場に集まった7万人超を前に演説を行い、党や自らの実績を強調するとともに、異例の激しい言葉で対外圧力に徹底的に対決する姿勢をあらわにした。
「我々は、全党、全国の各民族や人民の奮闘を経て、小康社会(ややゆとりのある社会)を全面的に実現した」
午前8時過ぎ。天安門の楼上から演説した習氏は冒頭、歴代指導部が目標としてきた小康社会の実現を宣言。目標を果たしたことで、自らの指導力を示した。
その後は、共産党の功績を強調する言葉が並んだ。
「中国が共産党を生み出したことは、世界の歴史で例をみない大変化だ。中国人民と中華民族の運命を変え、世界発展の趨勢(すうせい)と構造に変化をもたらした」
「中国共産党がなければ新中国もなく、中華民族の偉大な復興もないということは、党成立以来の100年の歴史、建国以来70年の歴史が証明している。党の指導は中国の特色ある社会主義の最も本質的特徴で、最大の優位性だ」
「教師づらの説教は…」 強烈な表現、次々に
来年の党大会で総書記の任期を迎える習氏。「2期10年」の慣例を破って続投するとの見方が広がる中で、さらに自らの実績も誇示していった。
「党の18期(習氏の就任)以来、中国の特色ある社会主義は新時代に入った。中華民族は立ち上がり、豊かになり、強くなるという大飛躍を遂げ、中華民族の偉大な復興の実現は、逆戻りできない歴史のプロセスに入った」
そして、台湾海峡への圧力強化や、香港民主派やメディアの摘発や新疆ウイグル自治区の人権問題をめぐって国際社会から批判が強まっていることを受けて「中国共産党と人民を切り離そうとするいかなるたくらみも実現しない」と主張した。
さらに「有益な提案や善意の批判は歓迎するが、『教師づら』の説教は絶対に受け入れない」「我々をいじめ、服従させ、奴隷にしようとする外国勢力を中国人民は決して許さない。もし何者かがそんなことを妄想すれば、14億の中国人民が血肉をもって築いた鋼鉄の長城にぶつかって血を流すことになるだろう」などと異例の強烈な表現で批判を受け付けない姿勢を示した。
共産党の悲願とされる台湾問題については、「祖国の完全統一は決して志を変えることのない党の歴史的任務だ」と強調した。
「中華民族の偉大な復興という『中国の夢』は必ず実現できる!」「共産党万歳!」「中国人民万歳!」。習氏が最後に力強く声を上げると、天安門広場の観衆からは大歓声があがった。(北京=高田正幸)