[ワシントン 1日 ロイター] – 米労働省が1日に発表した6月26日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は36万4000件と、前週の41万5000件から予想以上に改善した。企業の人員削減数は21年ぶりの水準に低下するなど、企業が人手不足の中で人材確保に取り組む姿勢が改めて浮き彫りになった。
失業保険申請件数は、新型コロナウイルス禍に伴う制限措置が導入された昨年3月以降で最低を更新。市場予想は39万件だった。州別では、前週に申請件数が急増したペンシルベニア州で大幅に改善。同州は先月、申請システムを改良しており、新システムへの移行が統計の振れを引き起こしている可能性もある。カリフォルニア州、ケンタッキー州、テキサス州でも申請件数が大幅に改善した。
FWDBONDSのチーフエコノミスト、クリス・ラプキー氏は「申請件数が40万件を下回ったことで重要な節目に到達した」と指摘した上で、「夏場は例年、雇用が最も活発になる時期で、今年も例外ではない」と述べた。
全体の継続受給件数は6月19日までの1週間で5万6000件増の346万9000件。何らかの失業給付を受けている人は6月中旬時点で1470万人と、初旬の1480万人からやや減少した。
求職が伸びない一因とされる手厚い失業手当を巡っては、アイオワ州やミシシッピ州など12州で失業給付を週300ドル加算する特例措置がすでに打ち切られており、テキサス州やジョージア州など他の13州でも6月26日─7月10日にかけて同様に打ち切られることから、これが統計にどのような影響を及ぼすのか注目される。
ハイ・フリークエンシー・エコノミクスの米国担当チーフエコノミスト、ルビーラ・ファルーキ氏は「支援策の早期打ち切りが雇用の大幅な増加につながるかどうかはまだ分からない」と述べた。
こうした中、米民間雇用調査会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスが発表した米企業による6月の人員削減数は2万0476人と、前月比16.7%減少し、2000年6月以来の低水準となった。前年同月比では88%縮小。4─6月期や年前半の人員削減数もそれぞれ97年、95年以降で最低を記録した。