[ワシントン 16日 ロイター] – 米商務省が16日に発表した6月の小売売上高(季節調整済み)は、前月比0.6%増加し、予想外のプラスとなった。消費が引き続きサービスにシフトする中、モノの売り上げも底堅かった。
市場予想は0.4%減。前月分は当初の1.3%減から1.7%減に修正された。6月は前年同月比で18%急増。新型コロナウイルス禍前の水準を大きく上回る。
ネーションワイドのシニアエコノミスト、ベン・エアーズ氏は「多くの小売業者が店舗への来客数の増加や商品の価格上昇による恩恵を受けており、多くのサービス業にとって必要な回復をもたらしている」と分析した。
内訳では、家電が3.3%、衣服・服飾品が2.6%それぞれ増加。百貨店の売り上げは5.9%伸びた。一方、自動車・部品は2%減少。半導体の世界的な供給逼迫のあおりで生産量が低下し、自動車販売に支障を来している。シティグループのエコノミスト、ベロニカ・クラーク氏は「供給の問題と在庫の減少により、今後数カ月間は引き続き自動車販売が制限される」と予想した。
家具は3.6%、スポーツ用品・娯楽は1.7%それぞれ落ち込んだ。建材は1.6%減。一方、外食は2.3%増加。前年比では40%強急増した。オンライン販売も1.2%伸びた。
自動車・ガソリン・建設資材・外食を除くコア小売売上高は1.1%増加。前月分は当初の0.7%減から1.4%減に改定された。コア売上高は国内総生産(GDP)の個人消費の構成要素と密接に連動する。
エコノミストは、米国の経済活動の3分の2以上を占める個人消費が第2・四半期に2桁の伸びを示したと予想。第1・四半期は年率で11.4%増加した。第2・四半期のGDPは9%成長と、第1・四半期の6.4%から加速する見込みだ。
FHNフィナンシャル(ニューヨーク)のチーフエコノミスト、クリス・ロー氏は「成長に伴う痛みを感じているのは供給側だ。今週発表された物価に関する経済指標で、企業が需要増になお対応しきれていないことが明らかになった。ただ、小売売上高が6月も高水準になったことで、消費者需要は当面は減退しないと企業は確信を深めるだろう」と述べた。
ムーディーズ・アナリティクス(ペンシルベニア州)のシニアエコノミスト、スコット・ホイト氏は「消費者は多額の現金を持っている」とし、「貯蓄を余儀なくされたことも含めると、消費者が保有する富はコロナ禍が発生しなかった場合と比べて増加している公算が大きい」と指摘。ナショナル・リテール・フェデレーション(NRF)のプレジデント、マシュー・シェイ氏は「新学期の対面授業再開に備え、子どもを持つ世帯による電子機器や靴、バックパックなどの購入が急増する」との見方を示した。