[ワシントン 29日 ロイター] – 米商務省が29日に発表した2021年第2・四半期の実質国内総生産(GDP)速報値は、年率換算で前期比6.5%増加し、規模としては新型コロナウイルス禍前の19年第4・四半期を上回った。個人消費や企業の設備投資が堅調で、成長を後押しする一方、サプライチェーン(供給網)の制約に伴う在庫の大幅な切り崩しが重しとなり、市場予想の8.5%増には届かなかった。
第1・四半期のGDPの伸びは6.3%と、6.4%から下方改定された。20年については3.4%減と、3.5%減から上方改定されたものの、なお1946年以来の大幅な落ち込みとなった。
ムーディーズ・アナリティクスのシニアエコノミスト、スコット・ホイト氏は「経済が不況で失ったものを完全に取り戻し、本格的な成長軌道に乗っている」と指摘。「コロナ不況からの回復は中国や東南アジアの一部を除き、世界の他の国々よりもはるかに進んでいる」と述べた。
第2・四半期はGDPの7割を占める個人消費が11.8%増と、前四半期の11.4%増に続いて2四半期連続で2桁の伸びとなった。外食や宿泊、娯楽、自動車などの消費が好調だった。企業の設備投資も8.0%増加。一方、住宅投資は9.8%減少し、前四半期の13.3%増からマイナスに転じた。
在庫変動は1659億ドルのマイナス。前四半期の883億ドルからマイナス幅が拡大し、GDPの伸びを1.13%ポイント下押しした。輸出は6.0%、輸入は7.8%、それぞれ増加。政府支出は1.5%減少した。在庫や貿易、政府支出を除いだ成長率は9.9%。前四半期は11.8%だった。
物価面では、FRBが物価の目安として注目するコア個人消費支出(PCE)価格指数の伸びが6.1%と、前四半期の2.7%から急拡大し、目標の2%を大幅に上回った。ただ、パウエル議長はインフレの高進が一過性との見方を崩していない。
経済成長率は第2・四半期に現在の回復局面でピークに達したとみられるものの、年内はなお底堅く推移する見込みで、今年の成長率は7%程度と1984年以来の高成長を記録するもようだ。