【カイロ時事】約4600年前のエジプト古王国時代のクフ王のものとされる木造船が、首都カイロ近郊ギザで建設中の「大エジプト博物館(GEM)」へ移送された。エジプト観光・考古省が7日、明らかにした。

地中海に沈む古代都市から軍用船と葬祭殿の遺物 エジプト考古省

 木造船は「太陽の船」と呼ばれ、1954年にクフ王のピラミッド近くの穴で発見。全長約42メートル、幅約6メートルの当時の状態に復元され、ピラミッド近くの博物館で一般公開されていた。王が死後に天空を移動するための埋葬品と考えられているが、正確には解明されていない。

 観光・考古省は「移送は最も複雑な考古学的プロジェクトの一つ」と説明。脆弱(ぜいじゃく)な大型船を解体せずにそのまま運搬するため、移送には衝撃を吸収する遠隔操作が可能な特別車両を海外に特注し、周辺の道路を封鎖して約48時間かけて行われた。

 太陽の船は87年に見つかった船を含め2隻あるが、運ばれたのは54年発見の船。これらの船は古代の優れた木造技術を示す例として「黄金のマスク」で有名なツタンカーメン王の遺物に匹敵する価値を持つと言われる。日本も建設を支援する。GEMの完成後は別館展示棟で公開予定。