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エンゼルスの大谷翔平(27)が18日(日本時間19日)、敵地デトロイトのコメリカパークで行われたタイガース戦に「1番・投手」のリアル二刀流で先発出場。投手としてはメジャー移籍後最多イニングとなる8回を投げ、ハロルド・カストロに浴びたソロアーチによる1失点だけに抑える6安打8奪三振無四球の投投で8勝目をマークし、打者では、8回に先頭打者として右腕のホセ・シスネイロからライトスタンドに飛距離131メートルの特大の40号を叩き込んで3-1と自身を援護した。リアル二刀流での勝利&本塁打はメジャー4年目にして初だ。まるで劇画のような“大谷ショー”に全米メディアは賛辞の嵐。MVPに加えサイヤング賞候補の声まで出始めた。

「MLBの歴史の中で最も素晴らしいシーズンを送っている」

 CBSスポーツは、「大谷は、これまでのあらゆる選手の中で最も偉大なシーズンを送っているのか?」との見出しを取り絶賛した。 「エンゼルスの先発投手でDHの大谷が、ほぼ間違いなくMLBの歴史であらゆる選手の中で最も素晴らしいシーズンとなるものを水曜日の夜にやってみせた。大谷は打席に入り40本塁打を達成した。40本だ!彼は今シーズン最初に40本到達の選手となり、さらに18盗塁も加えている。大谷は打率.269、(出塁率と長打率を足した)OPSは1.011で、これには投手としてマウンドを支配したことさえ織り込まれていない」  大谷の投球については「彼の制球は後半戦で素晴らしく四死球を与えなかった。90球を投げて空振りを15回奪い、ちょうど100イニングを投げて(投手指標の)WHIPは1.06で120三振を奪い防御率は2.79となった。6試合連続のクオリティースタートで、この間、わずか4四球しか出していない」と、その改善した制球力を称えた。  そして「大谷はア・リーグMVPをほぼつかみかけている」と予想。「今シーズンの投球回数あたりの内容では、最も支配的な投手の1人であることに疑いない。そして一方で、大谷は2021年のピッツバーグ・パイレーツのチーム本塁打数のほぼ半分の本塁打を放っている」と続けた。筒香嘉智が移籍したパイレーツのチーム本塁打数は92本。ほぼ半分は大げさだが、大谷の投打における存在感を示す数字だ。  MLB公式サイトは、エンゼルスのジョー・マドン監督、タイガースのAJ・ヒンチ監督、らの絶賛コメントで大谷の8勝&40号の快挙を称えた。

 同サイトによるとマドン監督は「すでに(誰もが)彼を表現している言葉以外の言葉では何も伝えられない」と絶賛。 「序盤は三振を狙っていたわけではなかったが、後半になって球威は上がっていた。9回も続投させようと思ったが、彼は疲れていた。でも、それが上手く行った。スライダーで被弾したが、あと1点は取り返したいと思っていたところに、大谷がライトへの超特大弾でそれをやってのけてくれた。極上の選手。彼は唯一無二のアスリートであり、特別な存在だ」と称えた。その上で「サイヤング候補としても注目されるべきだ」と言及。 「彼はすべての賞のど真ん中にいるんだ」とまで発言した。  一方、大谷一人にしてやられた敵将のヒンチ監督も、「大谷は素晴らしい特別な才能の持ち主。私たちは不運にも(敗戦という)犠牲を払いそれを目撃することができた。彼はマウンド上で試合を支配し、40本塁打を打ち、明らかに今夜の試合を支配していた」と、もうお手上げのコメントを残している。  MVP&サイヤング賞候補についてさらに突っ込んで報道したのはカナダのスポーツ局TSN だ。 「別格の大谷」との見出しを取り、「ア・リーグのMVPレースは、今しばらく終了となった。大谷は別格だ。大谷の比類なき投球が、水曜日の夜にまた披露された。タイガースに3-1で勝利する中で、彼はキャリア最長となる8イニングの投球で8三振を奪った。大谷はまたメジャー全体の本塁打争いトップをキープする一発を放ち、これはエンゼルスの球団史上最速で40本に達した選手にもなった」という記録を付け加えた。  記事は、ア・リーグのMVPレースのブックメーカーのオッズを紹介。6月29日の時点で、大谷のオッズは2.05倍だったが、この試合前で1.091倍に下がり、さらに「記憶に残るパフォーマンスの後」にオッズは1.045倍になったという。 「マイク・トラウトはキャリアで2度、シーズン40本塁打を放っているが、それを大谷以上の速さで達成したことはない。大谷はメジャートップの本塁打数に加え、打点でも4位(87打点)、得点で9位(80得点)、盗塁で9位(18盗塁)につけている。大谷は、その打撃成績のみでもア・リーグMVPを手に入れるには十分の数字を残している。加えて彼がマウンドでやり遂げていることもある。8勝1敗と成績を伸ばし、防御率は2.79とした。7月1日以来、彼は5勝1敗で防御率は1.58としている」と称賛した。

 同メディアはMVPだけでなく、「大谷をア・リーグのサイヤング賞候補として話題にし始める時期だろうか?」と言及した。ブックメーカーのサイヤング賞のオッズは、現在、37倍で5番手だという。現在の1番人気は、ホワイトソックスのランス・リンで1.667倍、2位がヤンキースのゲリット・コールの2.65倍、3位がホワイトソックスのカルロス・ロドンで8.5倍、4位ブルージェイズのロビー・レイで17倍となっている。 「まだ大谷は大穴だが、数字は2週間前の81倍から下がっている。もし彼が、この2カ月間で見せてきたレベルの投球を続けるのであれば、大谷は、確実にア・リーグのサイヤング賞候補として押し入ってくるかもしれない」と予想した。  米で権威あるスポーツ専門誌スポーツイラストレイテッド誌も「大谷は疑いなく野球界におけるMVPだ」との見出しを取り、「MLBは大谷にフィールド・オブ・ドリームスを手に入れさせる必要がある。彼は、疑いなく野球界における最優秀選手だ。ア・リーグでのMVPでは、満票で選出されるべきだ」と絶賛した。  「かつて我々が見たことがないようなことをしているのにもかかわらず、彼をポストシーズンで見ることができそうにないのは残念なことだ」と、現在、ア・リーグ西地区4位に低迷するエンゼルスのチーム成績を皮肉った上で、大谷の成績とチームへの貢献度を示すWARを紹介した。 「彼はトラウトやアルバート・プホルスら、エンゼルスのどの選手よりも早く40本塁打に到達し、歴代球団記録としても、ノーラン・ライアンを上回って、最高の奪三振率を記録している。そして彼は走塁も優れたものを持っている」と続け、1シーズンで100イニング以上を投げたエンゼルスの投手でノーラン・ライアンの数字を上回る9イニングあたりの奪三振数10.8を記録していることを伝えた。  全米を席巻している“大谷マニア”。ベーブ・ルース以来となる「2桁勝利&2桁本塁打」の大記録まで、あと2勝だ。