毎日新聞

 任期満了に伴う横浜市長選は22日に投開票され、元横浜市立大教授の山中竹春氏(48)=立憲民主党推薦=が、前国家公安委員長の小此木八郎氏(56)や4選を目指した現職の林文子氏(75)ら7人を破って初当選した。カジノを含む統合型リゾート(IR)の市内への誘致反対や新型コロナウイルス対策の充実を訴え、地元選出の菅義偉首相や政権への批判票を取り込んだ。全面支援した小此木氏の敗北で菅氏の求心力低下は避けられず、自民党総裁選や次期衆院選にも影響しそうだ。投票率は49・05%で、前回の37・21%を11・84ポイント上回った。 

【図版】「菅さんはブレた」とささやかれた横浜市長選の構図  

山中氏は22日夜、報道陣の質問に答えて「カジノ、IRは横浜に誘致はしない」と明言した。  

立憲が擁立した山中氏は共産、社民両党の支援や連合神奈川の推薦を取り付け、事実上の野党統一候補としてアピール。菅政権が推進するIR事業の誘致に反対する考えを前面に打ち出した。臨床統計学を専門とする医学部教授として新型コロナの抗体に関する研究に携わった立場から「候補者の中で唯一のコロナ専門家」と強調。立候補の表明は6月下旬と遅かったが、徐々に浸透し、無党派層にも支持を広げた。  

地元出身の小此木氏は安倍、菅両政権で入閣し自民党神奈川県連会長なども歴任。6月下旬に立候補を表明し、IR誘致の取りやめを主張した。自民党市連は自主投票となったが、自民系会派の市議36人のうち30人から支援を受けた。菅氏も自ら電話などで有権者に支援を依頼。自主投票の公明党も実質的に支援した。だが支援の効果は限定的だった。  

現職の林氏は、自身が決めたIR誘致など市政の継続を訴えた。誘致推進を求める地元経済界が支援したが、自民の分裂選挙により支持を伸ばせなかった。【樋口淳也】