菅首相(自民党総裁)は、10月前半の衆院解散を模索している。9月の党総裁選で再選した場合、新型コロナウイルスの感染状況を見極めつつ、解散に踏み切り、衆院選に臨みたい考えだ。

 総裁選は「9月17日告示、29日投開票」の日程で行われる見通しだ。新型コロナの感染状況が大幅に改善すれば、13都府県に発令中の緊急事態宣言を9月12日に解除し、総裁選告示までに衆院解散に踏み切る余地を残しているが、感染拡大には歯止めがかかっていない。

 菅内閣の支持率が最低水準に低迷していることに加え、22日に投開票された横浜市長選で全面支援した小此木八郎・前国家公安委員長が落選した。自民党内で「菅首相では衆院選は戦えない」との声が強まるのは不可避だ。

 こうした情勢を踏まえ、首相は党総裁選に勝利して求心力を回復したうえで、間を置かず10月に衆院解散に踏み切る案を検討している。10月になれば、新型コロナワクチンの接種が進展し、感染状況の好転や逆風の緩和につながるとの期待もある。首相は17日の記者会見で「全ての対象者の8割に接種できる量のワクチンを10月初旬までには配分する」と強調した。

 感染状況次第では、解散できずに、10月21日の衆院議員の任期満了による選挙となる可能性もある。