[ニューヨーク 2日 ロイター] – ニューヨーク外為市場では、雇用関連の経済指標が堅調だったことで、米連邦準備理事会(FRB)によるテーパリング(量的緩和の縮小)が意識される中、ドルが軟化した。ユーロは欧州中央銀行(ECB)当局者のこのところの発言を受け、対ドルで約1カ月ぶりの高水準を維持した。
労働省が朝方発表した8月28日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は34万件と、前週から1万4000件改善し、2020年3月中旬以来の低水準となった。このほか、雇用コンサルティング会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスが発表した統計によると、8月の米企業の人員削減数は17%減の1万5723人と、1997年6月以来の低水準となった。
市場はFRBのテーパリング(量的緩和の縮小)開始時期を見極めようと、労働省が3日に発表する8月の雇用統計に注目。BDスイスの投資調査部門責任者、マーシャル・ギットラー氏は週間失業保険申請件数について「予想より良かったが、FRBのテーパリング計画や、明日の雇用統計に関してこれまでに出ている予想を変えるほどのものではなかった」と述べた。
パウエルFRB議長は8月27日に行った米年次経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)での講演で、テーパリング開始時期は年内が適切との見方を示しながらも、急がない姿勢を表明。以来、ドル相場は先行き不透明な展開が続いている。
BDスイスのギットラー氏は「FRBは旗幟(きし)をかなり鮮明にしている。地獄のような事態に陥らない限り、年内にテーパリングに着手するとしており、経済指標が予想を大幅に下回る事態が複数回発生しない限り、着手時期の遅延はない」との見方を示した。
主要6通貨に対するドル指数は0.303%安の92.229。一時は92.219と、8月5日以来の低水準を付けた。
ユーロは0.31%高の1.1874ドル。
ECBが9日に開く理事会を前に、ホルツマン・オーストリア中銀総裁は8月31日、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の縮小を検討できる状況になっているとし、次回理事会で第4・四半期の縮小開始が討議されるとの見方を表明。ECBラガルド総裁は1日、ユーロ圏経済は新型コロナウイルスによるパンデミック「世界的大流行)から回復しつつあり、なお苦境に立たされている一部のセクターに標的を絞った「外科的」な支援のみが必要になっているとの認識を示した。
円は対ドルで0.04%高の109.96円。英ポンドは対ドルで0.48%高の1.3834ドル。
暗号資産(仮想通貨)のビットコインは0.98%高の4万9333.82ドル。一時は8月23日以来、初めて5万ドル台に乗せた。イーサは1.5%安の3774.04ドル。前日は3837.20ドルと、約3カ月半ぶりの高値を付けていた。
ドル/円 NY終値 109.92/109.95
始値 109.97
高値 110.09
安値 109.94
ユーロ/ドル NY終値 1.1873/1.1877
始値 1.1853
高値 1.1876
安値 1.1837