[ロンドン 7日 ロイター] – ジョンソン英首相は7日、医療・社会福祉分野での財源不足に対応するため、労働者、雇用主、一部の投資家に対する増税計画を発表した。ただ、一部から選挙公約違反と非難する声が上がっている。

英国では新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)への対応で巨額の資金が投じられたほか、高齢化に伴い社会福祉にかかる費用が今後20年間で倍加すると見込まれている。

ジョンソン氏は議会で「財源調達に関する、困難だが責任ある決断をせずに、(新型コロナ禍からの)回復に向けて資金を投じることができると言うのは間違っている」と強調。「借り入れ拡大や債務増加で財源を賄うのは無責任だ」と述べた。

また「選挙公約は軽々しく違反できるものではないことは認めるが、世界的なパンデミックは誰の公約にもなかった」と説明した。

ジョンソン氏の増税計画では、労働者および雇用主の双方が支払う国民保険料の税率を1.25%ポイント引き上げるほか、株主配当金に対する税率も同率引き上げる。これにより、3年間で360億ポンド(500億ドル)の財源が確保できるという。英議会は同計画について8日に再び審議する。

これに対し、野党・労働党のスターマー党首は「前回の選挙で首相が掲げた公約を破る増税だ。保守党は低税率の政党だと主張することは二度とできない」と述べた。

また、英商工会議所(BCC)のエコノミクス部門責任者、スレン・ティル氏は、増税計画は「すでに多くの新たなコスト圧力に直面している企業に多額のコストを課すことで、より広範な経済回復に影響を与え、回復推進に必要な起業家精神の喪失につながる」と述べた。