【ワシントン=塩原永久】サキ米大統領報道官は16日、中国が正式に環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)へ加入申請したことに関連し、「(加入を認めるかは)加盟国の判断に委ねる」と述べた。米政権として現行協定への再加入に距離を置く姿勢を改めて示し、中国が加入申請しても方針に変わりはないと冷静な受け止め方をみせた。
サキ氏は記者会見で、バイデン大統領はTPPが修正されない限り「再加入しないと明確にしてきた」と指摘。環境基準や労働者の権利を強化する修正を前提に検討する余地はあるが、「大統領にとって有力な選択肢となるには多くのステップがある」と話した。
中国はアジア太平洋地域の加盟国に存在感をアピールする思惑もあるとみられるが、サキ氏は「(同地域と)より強い経済関係を築く幅広い手段がある。貿易が唯一ではない」と述べ、米国が関係国と連携強化していく立場を強調した。
一部米メディアは今夏、米国が日本やカナダ、オーストラリアなどを念頭に、データ利用や電子商取引のルールを定めるデジタル貿易協定を検討していると報じていたが、具体的な動きには至っていない。