米英豪による新しい安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」創設に伴い、オーストラリアがフランスとの次期潜水艦開発計画を破棄したことについて、ルドリアン仏外相は18日、「(米豪の)振る舞いは同盟国内ではあり得ない。重大な危機だ」と警告した。国営テレビの番組で、米豪の駐仏大使を召還した理由について説明する中で語った。仏政府報道官によると、マクロン大統領はバイデン米大統領と近く電話協議を行う方針。仏の強い不満を伝えるとみられ、怒りは収まる気配が見えない。
ルドリアン氏は、オーカス創設についてフランス側は「発表の1時間前まで知らなかった。事前にフランスと協議したと説明する米国の説明は事実ではない。だから、うそや軽視があると主張しているのだ」と強調。バイデン氏について、「ツイートしないトランプ」とやゆし、米国第一主義を掲げたトランプ前政権と似ているとした不満を改めて示した。
英国の大使召還をしなかったことに関しては、「英国のいつものご都合主義は知っている。やっても意味がないことだ」と述べた。
ルドリアン氏は、北大西洋条約機構(NATO)について、脱退の可能性は否定しつつ、主要指針である新たな「戦略概念」の改定に今回の問題が影響する可能性を指摘した。
ルドリアン氏は17日、米豪の対応は「同盟関係や、欧州にとってのインド太平洋地域の重大性の考え方に関わる」として大使の召還を発表した。【パリ久野華代】