自民党の新総裁に選出された岸田文雄氏は年内に数十兆円規模の経済対策を策定し、新型コロナウイルスへの対応に国民の協力を得る考えだ。総裁選で掲げた「成長と分配の好循環」の実現を目指し、国民の所得・給与を引き上げる経済政策を進める。

Japan's Ruling Liberal Democratic Party Elects Its New Leader
岸田文雄総裁(右)Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  岸田氏は29日夕の記者会見で、新政権の経済政策について「新しい資本主義を構築していきたい」と強調。アベノミクスは経済の体質を強化し成長を実現したものの、「一部の人間に成長の果実がとどまり集中しているようでは経済の好循環が実現できない」と指摘した。

  企業については、株主・経営者だけではなく「従業員などに適当に分配されているのか民間で考えてもらう」と話した。大企業と中小企業、高所得者層と中・低所得層、地方と大都市の「格差を埋めていかなければいけない」とも述べた。

  幅広い人の給与引き上げで消費を喚起し、企業の投資や研究開発を促す。特に国が定めることができる看護師や介護士、保育士などの給料引き上げに取り組む。

  岸田氏は党員を含めた1回目の投票でトップとなり、決選投票でも河野太郎行政改革担当相を上回った。10月4日召集の臨時国会で第100代首相に指名され、新内閣を発足させる。

発言

  • 党役員人事、できるだけ急ぎたいが明日1日はかかる
  • 3人の総裁候補に能力発揮してもらえることを考えたい
  • 中堅、若手の思い切った登用必要-閣僚、党人事
  • 衆院選は与党過半数が勝敗ライン
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