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[ワシントン 1日 ロイター] – 米商務省が1日発表した8月の個人消費支出は、前月比0.8%増と市場予想の0.6%増を上回った。世界的な半導体の供給不足により自動車生産が抑えられ、販売台数が減少しているにもかかわらず、回復を見せた。
ただ7月のデータが当初の0.3%増から0.1%減に下方修正されたことで、新型コロナウイルス感染の再拡大によるサービス需要の抑制で第3・四半期の経済成長が鈍化したとの予想に沿ったものになった。
8月の増加は新学期の開始による消費や政府による子育て控除の影響もあるとみられる。
支出がモノからサービスに戻ってきているものの、夏にコロナのデルタ変異株が流行したことにより、航空旅行やホテルの宿泊、レストランやバーの需要が減少した。
モノの消費は1.2%増。自動車が落ち込んだものの、食品、家庭用品、娯楽用品が伸びたことで相殺された。
サービスの消費は0.6%増。住宅や医療保健関連のサービスへの消費が増加した。
物価調整後の消費支出は0.4%増。7月の0.5%減から反転した。
個人消費の大部分はサービスが占めており、個人消費の伸びは、第3・四半期に急激に減速し、年内に勢いを取り戻すと予想されている。感染は減少傾向にあり、旅行など接触機会の多いサービスへの需要が既に高まっている。
8月のインフレ率は上昇傾向を維持した。個人消費支出(PCE)価格指数で変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数は、7月に続き0.3%上昇した。前年同月比では3.6%上昇し、7月の上昇率と同じだった。
コアPCE価格指数は、米連邦準備理事会(FRB)が2%という柔軟な目標を達成するために目安とする指標。FRBは先週、今年のコアPCEの予測を6月の3.0%から3.7%に引き上げていた。
FRBは、毎月の債券購入の削減を早ければ11月にも開始する可能性が高いと述べ、予想よりも早く利上げが行われる可能性を示唆した。
FWDBONDS(ニューヨーク)のチーフエコノミスト、クリス・ラプキー氏は「物価はなお上向いているが、もはや急上昇はしていない。経済活動の再開を受け、夏の初めに消費が活性化したが、同様のことが起きない限り、これ以上インフレが高進することはない」と述べた。
個人所得は0.1%増。伸びは7月の1.1%増から鈍化した。
BMOキャピタル・マーケッツ(トロント)のシニアエコノミスト、サル・グアティエリ氏は「雇用増と賃金上昇を踏まえると、家計には潤沢な消費余力がある」と指摘。ただ「消費者の購買力は物価上昇で圧迫されている」と述べた。