【ソウル=上杉洋司】来年3月の韓国大統領選に向け、与党「共に民主党」の候補者レースで先頭を走る 李在明イジェミョン ・京畿道知事の側近とされる人物が1日、ソウル近郊 城南ソンナム 市の不動産開発を巡るロビー疑惑で検察に身柄を拘束された。与党の候補者選びが目前に迫るタイミングで、政界は大揺れになっている。

 問題になっているのは、李氏が城南市長だった2014年に始まった同市 大庄洞テジャンドン の宅地開発だ。参加した資産管理会社が、出資割合をはるかに超える利益を上げたことが判明した。

 この会社には李氏の元弁護士が勤務していた。李氏がかつて公職選挙法違反に問われた際、最高裁で無罪意見を出した元判事も顧問として報酬を得ていた。

 聯合ニュースなどによると、この会社は宅地開発の特別目的会社に約7%の出資をし、1000倍以上となる約4040億ウォン(約380億円)の配当を得た。約50%を負担した城南都市開発公社への配当は1830億ウォン(約170億円)だったことが分かっている。

 1日に拘束されたのは、城南都市開発公社で事業者の評価・選定を担い、利益配分の仕組み作りに関与したとされるユ・ドンギュ元企画本部長だ。李氏の「側近」と目される人物で、李氏が京畿道知事に就任した18年に道の観光公社社長に任命され、李氏の選挙運動にかかわったこともある。

 検察は、資産管理会社から公社側に約10億ウォン(約9500万円)が渡った疑惑で捜査を始めていた。

 保守系最大野党「国民の力」は、当時市長だった李氏が疑惑の張本人だとし、政府から独立して捜査を行う特別検察官による捜査を要求している。李氏は「フェイクニュースによる国民の扇動はやめるべきだ」と関与を否定している。

 捜査は大統領選に影響する可能性がある。李氏は全国11か所を巡回する予備選でトップを走っており、10日のソウルでの予備選で与党候補に確定する見通しが高まっている。李氏の関与が明らかになれば本選への影響は避けられないだけに、与党候補の座を巡る攻防は一層激化しそうだ。