[ワシントン 13日 ロイター] – 20カ国・地域(G20)は13日にワシントンで開いた財務相・中央銀行総裁会議で、法人税の最低税率を15%とする新たな国際課税の枠組みについて最終合意した。景気支援策の尚早な解消の回避を確約すると同時に、物価上昇を注視していくことでも合意した。

会議後に発表した共同声明で、経済の回復は「国によって、また、国の中でも大きく異なっている」とし、新型コロナウイルスの新たな変異株や不均一なワクチン接種ペースに影響を受けやすいと指摘。「金融安定と財政の長期持続性を維持し、下方リスクとマイナスの波及的な影響に対し防御しながら、支援策の尚早な解消を回避し、回復を維持していく」と表明し、供給網の制約に起因するインフレ圧力を踏まえ各国中銀が「物価情勢を注視していく」とした。

会議後に発表されたコミュニケでは「各国中銀は物価安定を含む責務を果たすために必要に応じて行動する一方、インフレ圧力が一過性である場合にはそれを見抜き、政策スタンスを明確に伝えることに引き続きコミットする」とした。

欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのビスコ・イタリア中銀総裁は、G20財務相らは依然として、多くの先進国での高インフレは供給のボトルネックや半導体の供給不足、輸送の遅れ、天候の問題など一過性の要因によるものであり、その影響は薄れていくと考えていると指摘。「ただ、これらの要因は消え去るまでに数カ月を要する可能性があるため、われわれは準備を整え、問題をどのように見ているのかを十分に伝えていかなければならない」とした。

このほか、低・中所得国における新型コロナウイルスワクチン、治療薬、診断薬などの不足の解消に取り組んでいくことでも合意した。

国際課税の枠組みを巡っては、経済協力開発機構(OECD)加盟国を含む世界136カ国・地域が今月8日、法人税の最低税率を15%とすることで合意。

G20財務相・中銀総裁はこれを最終的に承認し、23年の導入に向け「モデルルール」の早期策定を呼び掛けた。

またコミュニケの中で、国際通貨基金(IMF)は6500億ドルの特別引出権(SDR)を脆弱な国々に幅広く配分するために新たな信託基金を設立すべきとした。