[ローマ 30日 ロイター] – 20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)は30日、大企業の課税逃れを阻止するため、法人税の最低税率を15%とする新たな国際課税ルールを承認した。また、新型コロナウイルスワクチンの貧困国向け供給を拡大することで合意した。
今回のG20サミットは2年ぶりに対面形式で行われた。首脳らは貧困国向け債務救済措置の拡大を支持したほか、2022年半ばまでに世界の人口の70%が新型コロナワクチンを接種できるようにすると表明した。
一方、地球温暖化問題については、国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の開催を直前に控えつつも、科学者が訴える強力な対策に注力することに苦戦しているようだ。
サミット1日目の主要議題は国際保健と世界経済だったが、2日目には気候変動に関するより厳しい討議が予定されている。
議長国イタリアのドラギ首相は会議の冒頭、各国政府は国民が直面している困難な課題に立ち向かうため協力しなければならないと強調。
「パンデミック(新型コロナの世界的大流行)や気候変動、公正で公平な課税(などの課題)において、単独行動は選択肢にない」と各国に協調を呼び掛けた。
バイデン米大統領はツイッターへの投稿で、新たな国際課税ルールに関して「これは単なる税に関する取り決めではなく、世界経済を再構築する外交だ」と述べた。
米政権当局者によると、バイデン氏は、エネルギー価格の高騰やサプライチェーン(供給網)の制約といった問題を受け、世界経済の回復を支援するため、ロシアやサウジアラビアなど余剰生産能力を持つG20産油国に増産を促す見通しだ。
<薄れる期待>
ブラジル、中国、インド、ドイツ、米国などを含むG20は世界の温室効果ガス排出量の80%を占めると推定されているが、サミットが、31日から開催されるCOP26の成功に道を開くとの期待は薄れている。
中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領は対面での会議参加を見送り、ビデオ形式で出席する。意義のある合意を目指している外交筋によると、両国やインドは気候変動対策の新たな野心的な目標に難色を示しているという。
ロイターが入手した声明草案によると、G20は、産業革命前からの気温上昇幅を1.5度に抑えるための対策を強化すると表明する。科学者らは破壊的な事態を回避するには気温上昇幅を1.5度に抑える必要があるとしている。
草案は、有害物質の排出削減に向けた各国の現行計画を強化すべきとの認識も示しつつも、具体策にはほとんど言及してない。