[ベルリン 17日 ロイター] – ドイツのメルケル首相は中国の李克強首相との電話会談で、中国が建設中の新しい石炭火力発電所を、少なくとも旧来の発電所より効率的にするよう促した。その上で、ドイツ企業は専門技術で後押しできるとの認識を示した。
メルケル氏は、国内での石炭火力の段階的廃止を表明する国が石炭を助成することはできないものの、温室効果ガス排出量の削減に役立つドイツからの輸出を禁止することはないと述べた。
新政権発足後に退任予定のメルケル氏は「中国首相との会談で、石炭火力発電所を建設するならば、少なくとも最新世代のものを建設した方が良いのではないかと話した」と語った。
世界最大の温室効果ガス排出国である中国は、2030年までに温室効果ガス排出量をピークアウトさせ、60年までにカーボンニュートラルを達成すると明言している。
しかし、中国は再生可能エネルギーや原子力エネルギーに移行するまでの過渡期をカバーするため、240弱の石炭火力発電所を計画または建設している。
英グラスゴーで先週開催された第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)で、石炭火力を段階的に廃止することを約束する圧力に対して中国は抵抗した。
一方、ドイツは45年までにカーボンニュートラル経済へ移行する橋渡しとしてガス火力発電所の増設を計画しており、石炭とガス両方で燃焼効率が世界で最も高い国の一つとなっている。 電力用のガス火力は、石炭火力と比べて二酸化炭素(CO2)排出量が半分にとどまる。
ただ、メルケル氏はロイターとのインタビューで、もしも全員がガス火力発電所ばかりを建設し始めたらどうなるのかと疑問を呈し、世界規模のアプローチを促した。メルケル氏は「ガス価格が高騰して、利用に影響が出る可能性はないか。再生可能エネルギーを世界中で展開するにはどうすればよいか。私たちは解決策を見つける必要がある。そのためには世界規模のモデルが必要だ」と語った。