【サンパウロ時事】ブラジルのアマゾン地帯で2021年期(20年8月~21年7月)に失われた熱帯森林の推定面積が、東京都の6倍、長野県に匹敵する1万3235平方キロに達したことがブラジル政府の調べで分かった。ここ15年で最悪のペース。家畜飼料として輸出される大豆などの畑を開墾したり、金を採掘したりするための違法な放火が原因とみられる。同国は28年までに違法伐採を根絶すると宣言しているが、経済開発を推奨する19年のボルソナロ政権誕生後、増加傾向にある。
国立宇宙研究所(INPE)の18日の発表によると、アマゾン盆地に位置する「法定アマゾン」9州で1年間に失われた森林は、前年よりも22%増加。06年期(1万4286平方キロ)以降では最悪となった。ただ、1990年代半ばから2000年代半ばにかけては、消失ペースは現在よりもはるかにひどく、3万平方キロ近くに達する年もあった。
環境保護団体グリーンピースは声明で「反環境的な政策を取る現政権は、世界最大の熱帯雨林の破壊レベルを大幅に上げた。これは、世界が経験している気候の緊急事態を考えると受け入れられないレベルだ」とボルソナロ大統領を批判した。
一方、レイテ環境相は「データはここ数カ月の政府の活動を反映していない。これから違法伐採対策を拡大する。政府はいかなる環境犯罪も許さない」と弁明。ボルソナロ氏は15日、外遊先で「アマゾンは湿気が高いので、森林に火は付かない」と事実に基づかない発言をした上で、「アマゾンをめぐる攻撃はフェアではない。全体の90%は保護されている」と主張した。