[北京 6日 ロイター] – 中国人民銀行(中央銀行)は6日、銀行の預金準備率(RRR)を15日から0.5%ポイント引き下げると発表した。引き下げは7月以来今年2回目。新型コロナウイルス流行が続く中、減速する景気の押し上げに向け1兆2000億元(1880億ドル)の長期流動性を供給する。
預金準備率が現在5%の金融機関には、今回の引き下げは適用されない。
引き下げ後の加重平均準備率は8.4%となる。
大手行の預金準備率は、金融包摂の促進に向けた的を絞った引き下げという優遇措置を考慮に入れると、現在10.5%。
中国民生銀行のシニアエコノミスト、温彬氏は「預金準備率の引き下げは、中国経済の下押し圧力を緩和し、経済成長カーブを滑らかにする上で寄与するだろう」と指摘。
「今年の経済成長目標達成に向けたプレッシャーはほとんどないが、来年は大きなプレッシャーと課題に見舞われるだろう」と述べた。
人民銀行によると、今回放出される資金の一部は中期貸出制度(MLF)融資の返済に充てられる見通し。「洪水のような」金融緩和には頼らないスタンスを改めて示した。
人民銀行は、放出された資金が、特に中小企業など実体経済の支援強化に積極的に活用されるよう金融機関を指導すると表明。
今回の預金準備率引き下げで、金融機関の資金調達コストが年間150億元前後減り、企業の資金調達コスト低下につながるとの認識も示した。
国営メディアの3日の報道によると、李克強首相は「特に中小企業への支援を強化するために預金準備率を適切な時期に引き下げる」と述べていた。
中国経済は、製造業の低迷、不動産部門の債務問題、新型コロナの流行を受けて、ここ数カ月で減速している。
中国政府のシンクタンク、中国社会科学院は6日、22年の経済成長率目標を今年を下回る「5%超」とすることを政府に提言した。これにより構造改革を進める余地がでることになる。
新華社によると、習近平国家主席は内外の経済状況は依然複雑で、来年の第20回党大会に向け総合的な社会の安定をを維持する方針を示した。その上で、改革と開放を深化するとし、質の高い開発を促進すると述べた。
共産党の最高意思決定機関、中央政治局は6日、2022年の経済を妥当な範囲に収まるよう運営する方針を示した。
ピンポイント・アセット・マネジメントのチーフエコノミストは、「政府は不動産セクターへの政策スタンスを変更する方針か、またどの程度変化させるのか、この変化がセクターの反転に役立つかということ」が投資家の関心だと指摘した。