米上院民主党の指導部は、バイデン大統領の経済施策を盛り込んだ2兆ドル(約227兆円)近い規模の税制・支出法案を巡る党内の行き詰まりを打開できず、年内可決の取り組みを断念した。ホワイトハウスにとって政治的な打撃となった。
法案の審議先送りについては事情に詳しい関係者2人が確認した。2022年の中間選挙の鍵を握ると多くの民主党議員が考えている同法案の持ち越しは、党内の溝を一層深める恐れがある。
民主党のシューマー上院院内総務の報道官にコメントを求めたが、返答は得られていない。シューマー氏は民主党議員との昼食会後、税制・支出法案および投票権に関する別の法案について「良い議論」ができたとコメントするにとどめた。
民主党のマンチン上院議員が税制・支出法案を支持しない姿勢を崩していないため、法案成立の遅れはほぼ確実だと複数の同党議員が示唆した。
下院民主党は先月、税制・支出法案の可決にこぎ着けたが、上院民主党は進歩派と中道派の間で規模や範囲を巡り意見が対立している。マンチン議員とバイデン大統領の間で今週行われた協議は不調だと、交渉に詳しい複数の関係者が述べていた。
米税制・支出法案、成立は22年に持ち越しか-マンチン氏との協議難航
一方、マンチン議員は法案の審議が遅れている理由について、共和党のフィリバスター(議事妨害)を受けないために民主党が利用する手続きを巡る厳格な規則順守に向けた作業を上院の運営助言専門員(パーラメンタリアン)が現在進めていることを挙げた。同議員は「彼らの仕事は終わりつつある」とし、「パーラメンタリアンの作業が終わった時にどうなったか分かるだろう」と述べた。
税制・支出法案に盛り込まれた支給の大半は実現までに数カ月、あるいは数年を要する見通しだが、今月15日に期限切れとなった子供のいる家庭の税額控除の延長は失効するリスクがある。米内国歳入庁(IRS)は来年1月15日の支払いが期日通りに実行できるよう12月28日までの法施行を期待していた。
原題:Democrats Drop Year-End Push on Biden Economic Plan Amid Discord(抜粋)