[ワルシャワ 17日 ロイター] – ポーランド議会は17日、政府に批判的なテレビのニュース局を抑え込むことが目的と批判されているメディア法案を可決した。メディアの自由を巡る懸念をあおり、米国との外交問題を再燃させる予想外の動きとなる。

反対派によると、この法案はポーランドのメディアの非欧州企業の規則を強化することで、米メディア企業ディスカバリー系列のテレビ局TVN24の運営に影響を与える。

ロシアの強硬な姿勢が強まって東欧の緊張が高まる中、今回の可決はポーランドにとって最強の同盟国である米国との関係を悪化させるものだ。

この法案の採決は予定されていなかったが、急きょ開かれた委員会で審議された結果、議題として取り上げられ、数分間で可決された。

法案が成立するにはドゥダ大統領の署名が必要となる。大統領はこれまで、欧州以外のメディアグループによる買収は、強制的な解決策ではなく、市場ルールに基づくべきと発言しており、法案への拒否権を行使する可能性を示唆している。

駐ポーランド大使館で外交を担当するアリュー首席公使はツイッターに「米国は、本日のポーランド議会でのメディア法の採択に極めて失望している」と投稿し、ドゥダ大統領に「言論と経済活動の自由を守る」ように呼び掛けた。

野党議員らは、委員会の召集方法は違法であり、民主主義の基準に違反していると訴えた。

委員会の委員長代理で、野党左派グループのメンバーのJoanna Scheuring-Wielgus氏は、規則では3日前に通知するように定めているところを、委員は会議の24分前にテキストメッセージで出席を求められたと指摘した。

非欧州企業によるポーランドのメディア企業の49%超の所有禁止を回避するため、TVN24の親会社であるTVNはオランダで登録された企業を通じてディスカバリーが所有している。17日に議会が可決した法案は、この回避策を阻止するものとなる。

TVN側は今回の採決を「メディアの自由に対する前例のない攻撃」と批判し、同社が「ポーランドでの投資を守る決意だ」との声明を発表した。