サマーズ元米財務長官は米金融当局者のインフレ見通しが甘いのではないかと引き続き懸念していると述べるとともに、米消費者物価指数(CPI)の上昇ペースが年末までに2%に落ち着く可能性に懐疑的だと、ブルームバーグテレビジョンのインタビューで語った。
米金融当局が25、26両日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で3月の利上げ開始の計画を示唆するとの観測が投資家の間で広がっているが、サマーズ氏は「われわれが置かれた状況の重大さは依然、実態よりも低く評価されている」と指摘。中国におけるボトルネックや石油コストの上昇、米住宅価格の高騰、労働市場の引き締まり、低借り入れコストはいずれも物価圧力の高止まりを示唆すると話した。
さらに、「金融当局者は『一過性』という表現は使わなくなったものの、インフレが一過性のものにとどまるという考えは当局者の間で根強いままだ」とし、「極めて限られた金融政策措置でインフレ率が年末までに2%レンジに鈍化するとの見方がなおもあり、そうした可能性は確かにあるが、私の予想はそうではない」と強調した。
また米金融当局は現在、インフレ抑制で非常に繊細な政策運営に直面しており、「そうした運営のデリケートさは年初からの資産市場の混乱で浮き彫りとなっている」との考えを示した。
一方、米国の中央銀行デジタル通貨(CBDC)創設の是非を巡る連邦準備制度理事会(FRB)の対応について、サマーズ氏は「思慮深く慎重なアプローチ」だと評価した。FRBは20日、CBDCに関する討議資料を発表。デジタル資産への取り組み強化を目指す上で、FRBにとって最も重要な節目となった。
原題:Summers Says He Doubts U.S. Inflation Will Slow to 2% This Year(抜粋)