米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が26日の会見で、「とにかく極めて深刻な問題なのでわれわれはできるだけの力を入れて取り組んでいる」と述べたのが、高インフレと労働力不足です。全米300カ所以上でカジュアルレストランを運営するTGIフライデーズは店長らに休暇を促し、2500ドル(約28万8000円)のバケーション費用を負担する新しいタイプのボーナスを支給します。働き手不足で閉店や時短に追い込まれているレストランは少なくありません。労働力不足が報酬を押し上げ、さらなるインフレ高進につながれば、パウエル氏の苦悩がさらに深まるシナリオも考えられます。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
孫氏の右腕
ソフトバンクグループのマルセロ・クラウレ最高執行責任者(COO)は、自身の報酬や権限を巡って創業者の孫正義社長と衝突し、退社に向けた協議が進展した段階にある。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。孫社長の右腕として多額の報酬を得てきたクラウレ氏(51)は、これまでにも収入と権限の拡大をしばしば要求。中南米投資ファンドのスピンオフ(分離・独立)も提唱しており、孫氏とはこの件で意見が分かれているという。関係者によると、ソフトバンクGとの話し合いは続いており、会社にとどまることを決める可能性も残っている。
戦争は「想定外」
ロシアはウクライナとの戦争は想定外だと考えていると、ロシア外務省のアレクセイ・ザイツェフ報道官が定例記者会見で述べた。同報道官は、ウクライナ東部ドンバス地方でウクライナ軍と分離主義勢力がにらみ合う状況は以前より落ち着いていると指摘。紛争解決を目指してウクライナおよび仏独との間で2週間以内に開催する次回4カ国協議では、進展が得られることを望んでいるとも述べた。
予想上回る成長
昨年10-12月(第4四半期)の米経済成長は市場の予想以上に加速した。在庫の積み増し再開が寄与した。通年では1984年以来の高成長となった。10-12月の実質国内総生産(GDP)速報値は前期比年率6.9%増と、四半期の成長率としてはここ1年余りで最大。エコノミスト予想中央値の5.5%増を上回った。7-9月(第3四半期)は2.3%増。消費では引き続き自動車の供給不足が重しとなった。2021年通年のGDPはインフレ調整後で前年比5.7%増。これは1984年以来の高い伸び。個人消費は7.9%増で、伸び率は1946年以来の大きさとなった。
あえて苦言
ゴールドマン・サックス・グループのジョン・ウォルドロン社長兼COOが異例のFRB批判を展開した。ウォルドロン氏は連邦公開市場委員会(FOMC)会合が開催された26日、ここ数年で金融当局の独立性は損なわれ、市場からの信任は失われたと舌鋒(ぜっぽう)鋭く批判した。同発言の後に終了したFOMC定例会合では、高インフレと闘うため超緩和策の終了に向けて金融当局が動き始める姿勢が示された。
「債券市場の声」
資産家のスタン・ドラッケンミラー氏は米経済専門局CNBCで、前日のFOMC発表について、「パウエル議長が示唆した通りの行動が取られるならば、債券市場が発信するメッセージがなんであれ、われわれはそれに従うことが再びできるようになる」と歓迎した。同氏は昨秋、債券市場からは有益なメッセージも「信ぴょう性のある」メッセージもまったく届かないと述べ、それは米金融当局による操作が原因だと述べていた。同氏はまた、FOMCはフォワードガイダンスをやめることで、データに基づいてタイムリーに行動する能力を取り戻すとも指摘した。
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