世界気象機関(WMO)は4日までに、1回の雷の光が水平方向に伝わる距離や継続時間の最長記録がそれぞれ更新されたと発表した。最長距離は2020年4月29日に米国南部のメキシコ湾沿岸で発生した雷の768キロで、最長時間は同年6月18日に南米大陸南部の大西洋沿岸、ウルグアイとアルゼンチンの国境付近で起きた17.102秒。
「メガフラッシュ」と呼ばれる大規模な雷は地上の観測網では捉えきれず、雷観測装置を搭載した米気象衛星ゴーズ16号が16年に打ち上げられて以降、網羅的に捉えられるようになった。衛星観測の範囲が広がり、観測装置の性能が向上すれば、今後も記録が更新される可能性があるという。
メガフラッシュは、北米大陸の大平原と南米大陸南部のラプラタ川流域付近でよく起きる。これまでの最長記録は、距離がブラジル南部で18年10月31日に観測した709キロ、時間が19年3月4日にアルゼンチン北部で観測した16.73秒だった。
WMOによると、1975年にはアフリカ南部ジンバブエで、小屋に避難した21人が1回の落雷で死亡した。雷雲の発生、発達や雷のメカニズムの解明が進めば、予報や安全対策に役立つと期待される。