孤独を感じて仲間を求める行動をする際に、脳の中で起きる神経の反応をマウスの実験で突き止めたと理化学研究所などのグループが発表しました。
反応が起きないようにすると仲間に接触しようとする行動が減ったということで、孤独を感じる脳の仕組みの解明につながるとしています。
マウスはヒトと同じように仲間を求める行動をとる性質があり、孤独によって病気が悪化することが知られています。
理化学研究所などのグループは、この仕組みを解明しようとメスのマウスを仲間がいるケージから隔離して脳の反応を詳しく調べました。
その結果、脳の中で子育てをするときに働く「内側視索前野中央部」(ないそくしさくぜんやちゅおうぶ)という部位の中で「アミリン」という分子を出す神経細胞が隔離から2日で半減、6日たつとほぼなくなり、再び仲間の元に戻すと、2週間ほどで元に戻ったということです。
柵越しに仲間が見えるようにしてもこの細胞は減少し、においや視覚だけでなく、仲間と触れることが細胞の維持に必要だとしています。
また、人工的にアミリンができないようにすると仲間を求めて柵をかむ行動が4分の1ほどに減ったということで、孤独を感じて仲間を求めるようになる脳の仕組みの一端を突き止めたとしています。
理化学研究所の黒田公美チームリーダーは「研究が進めば、人間が社会的な関わりを求めるようになる仕組みや孤独がもたらす影響について詳しく分かる可能性がある」と話しています。