[22日 ロイター] – ロシアのプーチン大統領は21日、ウクライナ東部の親ロシア派2地域の独立を承認する大統領令に署名した。これを受け、ロシア連邦議会上院は22日、プーチン氏が要請した国外へのロシア軍派遣を全会一致で承認。プーチン氏はウクライナ東部の停戦と和平への道筋を示した「ミンスク合意」はもはや存在せず、履行すべきことは何も残っていないと述べた。
こうした情勢に対する市場関係者の見方は以下の通り。
●FRBの引き締め路線見直しも=JPモルガン
<JPモルガンのチーフ株式市場ストラテジスト、ドゥブラヴコ・ラコス・ブジャス氏>
ロシア・ウクライナ危機は依然として不透明であり、短期的には市場のボラティリティーが高まる可能性があるが、各国の中銀がインフレ期待を再び低水準に抑制しようと積極的に試みる中で、金融政策の引き締めが依然として株式市場の主要なリスクだろう。
特に景気循環が悪化し続けた場合、過度な政策引き締めは明らかな政策ミスにつながる可能性がある。同時に、ロシア・ウクライナ危機によって米連邦準備理事会(FRB)は引き締め路線の見直しを迫られ、タカ派姿勢を弱めるかもしれない。
●戦争はなおテールリスク=UBSグローバル
<UBSグローバル・ウェルス・マネジメントの最高投資責任者(CIO)、マーク・ヘーフェル氏>
昨日の出来事が今後の展開にどのように影響するのか最終的な判断を下すのは時期尚早だと考えているが、戦争やロシア産エネルギーの長期輸出停止など深刻なリスクケースは現時点ではまだテールリスクという見解に変わりはない。
エネルギー価格はウクライナ情勢が激化した場合に上昇する可能性が高く、コモディティーやエネルギー関連株への資金配分はポートフォリオのリスクヘッジに役立つだろう。
●全面紛争の回避可能、パニック不要=SYZバンク
緊張が高まった状態は継続するものの、全面的な紛争は回避できるというのがわれわれの中核的なシナリオだ。現在もこうした見方を変えていない。
現時点でパニックを起こす理由はない。西側諸国の報道は警戒感を呼び起こさせるものだが、今回の危機の「恐怖」は近いうちにピークを付け、その後は緊張緩和に向かう公算が大きいと考えている。
とは言え、全面紛争という最悪のシナリオが現実化する恐れは否定できない。このため現時点でロシア資産の買い入れは控えている。ただ、現在の情勢は、われわれのポートフォリオのポジションを変えるものではない。