[東京 28日 ロイター] – 経済産業省は28日、全固体電池の技術開発に集中投資するとした蓄電池産業の戦略を見直し、液体電解質を用いた従来の「液系リチウムイオン蓄電池」の生産基盤強化を優先する方針を官民の協議会で示した。経産省は液系の優位性が当面続くとみているが、すでに日本は中国や韓国勢に抜かれており、政府支援が必要と判断した。
経産省は3段階の戦略を想定。第1段階で液系の生産基盤を強化するための大規模投資を支援し、第2段階で海外展開を後押しする。第3段階で、技術的に課題の残る全固体電池など次世代電池の技術にも投資し、市場獲得を目指す。人材の育成や国内需要を拡大するための環境整備、再利用、再生エネルギー供給と電力コストの抑制といった環境整備も進める。
経産省は現在、官民で作る協議会で蓄電池産業戦略を検討している。4月末から5月前半に中間とりまとめを、夏ごろに最終とりまとめを行う。
政府は蓄電システムの価格について、家庭用は19年度の1キロワット時約19万円から30年度に7万円へ、業務・産業用は同約24万円から6万円へ引き下げる目標を掲げている。また、家庭用、業務・産業用合わせてた導入見通しを、30年に累計約24ギガワット時(19年度累計の約10倍)と設定している。