[ニューヨーク 30日 ロイター] – 終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが約2週間ぶりの安値を付けた。ロシアとウクライナの和平交渉を巡る楽観的な見方が後退する一方、ドイツおよびスペインのインフレ指標を受け、欧州中央銀行(ECB)が早期の利上げを余儀なくされるとの見方が強まり、ユーロが買われた。
ドル指数は終盤で0.57%安の97.861。序盤には3月17日以来の安値を付けた。
JPモルガンのアナリストは顧客向けメモで、ユーロ/ドルへの買いを推奨。ロシアとウクライナの和平交渉におけるトーンの変化は「紛争がより局地的な段階に移行し、より極端なテールリスクが起こる確率が低下している」ことを示唆していると述べた。
スコシアバンク・エコノミクスの資本市場担当副社長、デレク・ホルト氏は「3月のインフレ指標発表を前にユーロはやや上昇していたが、指標発表後に一段と上昇した」と述べた。
ドイツ連邦統計庁が発表した3月の欧州連合(EU)基準(HICP)の消費者物価指数(CPI)速報値は前年同月比7.6%上昇と2月の5.5%上昇から伸びが加速し、約40年ぶりの高水準を記録した。
スペイン国家統計局が発表した3月の消費者物価指数(CPI)速報値は前年比9.8%上昇し、1985年5月以来の高い伸びとなった。
ただ、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は30日、食品とエネルギー価格の上昇は続かず、スタグフレーションは避けられるとの見方を示した。
ユーロ/ドルは3月1日以来の高値を記録。終盤は0.6%高の1.1152ドルだった。
日本円は対ドルで0.83%高の121.85円。日銀の黒田東彦総裁は30日正午ごろから約1時間、岸田文雄首相と官邸で会談した。ただ、黒田総裁はロシアなど内外情勢について話をし、為替に関して特別な話はなかったという。
ドル/円 NY終値 121.80/121.83
始値 121.91
高値 122.24
安値 121.64
ユーロ/ドル NY終値 1.1156/1.1160
始値 1.1129
高値 1.1170
安値 1.1113