【パリ=三井美奈】ポーランド外務省は8日、フランスのマクロン大統領選が同日付仏紙パリジャンで行った発言について、仏大使を呼んで説明を求めたと発表した。マクロン氏が、ポーランドのモラウィエツキ首相を「性的少数者(LGBT)を禁じる極右の反ユダヤ主義者」とこきおろしたことを問題視した。
この発言は、10日の大統領選第1回投票を前に、マクロン氏が同紙の読者に政策を説明するインタビュー記事で飛び出した。ウクライナ侵攻後もマクロン氏が続けているプーチン露大統領との対話を、モラウィエツキ氏が批判していることへの対応を尋ねられ、答えた。マクロン氏は、大統領選のライバル、極右「国民連合」のルペン候補がモラウィエツキ氏と親しい関係にあるとして、「だまされてはならない。彼は(ルペン氏を)支援しようとしている」とも述べた。
マクロン、モラウィエツキ両氏はロシアへの対応で方針が異なり、溝が深まっている。モラウィエツキ氏は米国とともに、ロシアに強硬姿勢で臨むべきだとの立場をとる。同氏はウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊で民間人殺害が明らかになったのを受け、4日の記者会見で「マクロン大統領、あなたは何を成し遂げたのか。犯罪者とは話し合いより、戦うべきだ。あなたはヒトラーやスターリンとも話すのか」と発言。ロシアに接近するマクロン氏へのいらだちをあらわにしていた。