ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる27日(日本時間)の動きをまとめました。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア 兵役に関する法律改正案 契約軍人の増加ねらいか

ロシア議会下院の国防委員会の委員長などは26日、兵役に関する法律の改正案を提出し、日本の高校にあたる教育機関を終えた人が、現行の法律で定められた少なくとも3か月間という兵役期間を満たさなくても志願すれば契約軍人になれるように変更することを提案しました。

この改正案は28日に審議される予定で、ウクライナへの軍事侵攻をめぐり、ロシアの兵員不足が指摘される中、それを補うねらいがあるものと見られます。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は26日に公開した分析で「クレムリンは完全な動員を行わずに“秘密の動員”を行うために法律を操作している」と指摘し、プーチン政権としては国民から強い抵抗が予想される総動員ではなく、契約軍人を増やすことで、戦況を有利に進めたいねらいがあるとみられます。

英国防省“ロシア 今後 契約軍人や退役軍人など活用する可能性”

イギリス国防省は27日、戦況についての分析を公表し、ロシアは軍事作戦の重点を引き続き東部ルハンシク州のセベロドネツクや隣接するリシチャンシクに置いているとしたうえで、1週間にわたる砲撃はロシアがハルキウ州のイジュームの北部で勢いを取り戻そうとしていることを示しているとしています。

そして、ロシアの作戦は今後、数週間にわたり、予備の部隊にますます依存するようになるだろうとしています。

具体的には▽志願した契約軍人や、▽過去5年間に軍で勤務した経験のある退役軍人などを活用する可能性があるとしています。

ウクライナ高官「ロシア軍の攻撃 兵力分散がねらい」

ウクライナのゼレンスキー大統領は、25日に公開した動画の中で、北部や南部、西部など広い範囲で半日に45発のミサイル攻撃を受けたと明らかにしています。

これに関連して、ウクライナの内相の顧問を務めるデニセンコ氏は27日までに地元メディアのインタビューに対して「ロシア軍がさまざまな都市を攻撃しているのは、ウクライナ側が東部のセベロドネツクやスロビャンシクなどに兵力を集められないよう、注意をそらせるためだ」と、ロシア軍のねらいを分析しました。

ロシアの外貨建て国債 “デフォルト”が起きた認識広がるか

ロシア政府は5月27日、合わせて1億ドル、日本円でおよそ135億円のドル建てやユーロ建ての国債の利払い期限を迎え、期限までに外貨で支払い手続きをとったとしていました。しかし複数の海外メディアは、30日間の猶予期間が過ぎても投資家が資金を受け取っていないと伝えました。
アメリカ政府が先月、自国の投資家がロシア国債の利払いなどを受け取れる特例を終了させたことが影響したとみられます。

海外メディアは「ロシアの外貨建て国債がデフォルトに陥るのは1918年以来だ」と報じていて、これによってデフォルト=債務不履行が起きたという認識が市場で広がることが予想されます。

ゼレンスキー大統領 首都攻撃を激しく非難

ウクライナのゼレンスキー大統領は、26日に公開した動画の中で、ロシアのミサイルによって首都キーウの幼稚園や集合住宅が被害を受けたことを明らかにしました。

そのうえで「37歳の男性が亡くなり、けが人の中には7歳の女の子やロシア人の母親が含まれていた」と述べ、ロシア軍の攻撃を激しく非難しました。

ゼレンスキー大統領は、首都キーウをねらったミサイル攻撃について「ロシアは国際的な行事があるたびに攻撃をエスカレートさせている」と述べ、ドイツで開かれているG7サミット=主要7か国首脳会議を念頭に、参加国をけん制するねらいがあると非難しました。

G7サミットに出席するためにドイツを訪れているアメリカのバイデン大統領は、26日、首都への攻撃について「野蛮だ」と非難し、各国首脳とロシアへの圧力強化について議論を深めていく考えを示しました。

G7サミット ウクライナ情勢への対応など議論

G7サミット=主要7か国首脳会議がドイツで始まり、初日はロシアのウクライナ侵攻を背景とした世界的なエネルギーや食料の価格高騰などを巡って意見が交わされました。各国首脳はウクライナ情勢への対応について、さらに議論を深めていく見通しです。

今回のサミットは、ウクライナ侵攻を続けるロシアへの圧力の強化と、ウクライナへの支援、それに世界的に懸念が高まる食料危機への対応などが焦点となっていて、議長国ドイツのショルツ首相は「われわれはサミットを通じて明確な結束と断固とした行動のシグナルを発信できると確信している」と述べました。

また、アメリカのバイデン大統領が「ロシアの主要な輸出品の金について、G7は輸入の禁止を表明する」とツイッターに投稿しました。

岸田首相 ロシア産の金 輸入禁止など追加制裁を表明

岸田総理大臣は、ドイツで開かれているG7サミット=主要7か国首脳会議で、ロシア産の金の輸入禁止などロシアに対する追加の制裁措置を表明しました。

ドイツ南部のエルマウで開かれているG7サミットに出席している岸田総理大臣は、日本時間の午前1時半すぎから、外交・安全保障をテーマに討議を行いました。

この中で、岸田総理大臣は、ウクライナ情勢をめぐって「われわれは歴史の岐路に立っている。ルールに基づく国際秩序を維持できるかどうかが問われている。国連の安保理などの枠組みが十分対応できていない」と指摘しました。

そのうえで、追加の制裁措置として、▽ロシア産の金の輸入禁止、▽会計や信託などロシア向けの一部サービスの提供禁止、▽およそ70のロシアの個人や団体に対する資産凍結措置のさらなる拡大、そして▽90の軍事関連団体への輸出禁止措置の実施を明らかにしました。

プーチン大統領 中央アジアへ ウクライナ侵攻後初の外国訪問

国営ロシアテレビの番組「モスクワ・クレムリン・プーチン」は26日、プーチン大統領が今週、中央アジアのタジキスタンとトルクメニスタンを訪問する予定だと伝えました。
プーチン大統領が外国を訪問するのはことし2月に行われた北京オリンピックにあわせて中国を訪れて以来で、ウクライナへの軍事侵攻を開始してから初めてです。
このうちトルクメニスタンでは、豊富な天然資源があると言われるカスピ海沿岸のアゼルバイジャンやイランなど5か国の首脳会議に出席するとしていて、世界的にエネルギー価格が上昇する中、天然ガスが豊富なロシアとしては存在感を示したいものとみられます。
またプーチン大統領は勢力圏ととらえる旧ソビエトの国々を訪問することで引き締めを図りウクライナ情勢をめぐり対立を深める欧米をけん制するねらいがあるものとみられます。

G7会場近く ウクライナ出身者ら さらなる支援を訴え

G7サミット=主要7か国首脳会議の会場に近いドイツ南部の街では、26日、ドイツに住むウクライナ出身の人や、ロシアの軍事侵攻後に逃れてきた人たちが、G7各国の首脳へさらなる支援を訴える集会を開きました。

街の中心部で開かれた集会にはおよそ400人が参加し、それぞれ「戦争を止めて」とか「ウクライナ人の命を救って」などと書かれたプラカードを掲げていました。

参加した多くの人は、ウクライナがロシアの攻勢にさらされるなかG7に強力な兵器の供与を求めていて、ドイツに住むウクライナ出身の男性は「ウクライナでは毎日、多くの兵士、それに市民が犠牲になっている。ウクライナには勇敢な兵士がいるが戦うための武器が必要だ」と話していました。

また、同じくドイツに住む20代の女性は「私たちウクライナ人は生き続けたいのに、ロシアはそれを許さない。ウクライナは武器がなければ生きていけない」と話し、軍事支援の強化を訴えていました。

ロシア軍 リシチャンシクに空爆

ウクライナ軍が東部ルハンシク州の拠点として激しく抵抗していたセベロドネツクについて、ロシア国防省は25日、完全に掌握したと発表しました。

これを受けてロシア軍は、セベロドネツクと隣接するリシチャンシクへの攻勢をさらに強めるものとみられ、地元のハイダイ知事は26日「リシチャンシクは空爆されている。敵の軍はルハンシク州の最後のとりでであるリシチャンシクを占領するため全力を注いでいる」とSNSに投稿し、危機感をあらわにしました。

さらにロシア国防省は26日、北部チェルニヒウ州、北西部ジトーミル州、それに西部リビウ州にあるウクライナ軍の訓練センターなどを巡航ミサイルで攻撃したと発表しました。

ゼレンスキー大統領 バイデン大統領 ロシアのキーウ攻撃を非難

ウクライナのゼレンスキー大統領は26日に公開した動画のなかで、ロシアのミサイルによって首都キーウの幼稚園や集合住宅が被害を受けたことを明らかにしました。
そのうえで「37歳の男性が亡くなり、けが人のなかには7歳の女の子やロシア人の母親が含まれていた」と述べ、ロシア軍の攻撃を激しく非難しました。
ゼレンスキー大統領は首都キーウをねらったミサイル攻撃について「ロシアは国際的な行事があるたびに攻撃をエスカレートさせている」と述べ、ドイツで開かれているG7サミット=主要7か国首脳会議を念頭に、参加国をけん制する狙いがあると非難しました。

G7サミットに出席するためにドイツを訪れているアメリカのバイデン大統領は26日、首都への攻撃について「野蛮だ」と非難し、各国首脳とロシアへの圧力強化について議論を深めていく考えを示しました。

キーウの集合住宅にロシア軍がミサイル攻撃

ウクライナの検察当局によりますと、26日朝、首都キーウ中心部の9階建ての集合住宅などがロシア軍のミサイル攻撃を受けたということです。

これまでに1人が死亡、女性と子どもを含む4人がけがをしていて、キーウのクリチコ市長は、この攻撃による被害状況を確認しているとしたうえで「いまも、がれきの下に取り残されている人がいる。早く救出できるよう最善を尽くしたい」と述べました。

キーウへの攻撃 G7をけん制するねらいか

ロシア軍が首都キーウを攻撃したことについて、ウクライナのポドリャク大統領府顧問は26日、「これはプーチン一味によるG7へのメッセージだ。『私は、キーウの中心部、君たちの大使館のすぐ近くにミサイルを撃っている。それで君たちはどうする?ルーブルでガスの代金を支払うのを拒むか?われわれの石油、穀物、金属はいらないか?』と、さげすんだ態度でロシアの指導者は問うているのだ」とツイッターに投稿し、ロシアへの圧力強化などを巡ってドイツで首脳会議を開いているG7=主要7か国をけん制するねらいがあるという見方を示しました。