S&P500種株価指数は前日比ほぼ変わらずで終えましたが、4ー6月期は2020年3月以来の大幅安で終えそうです。その影響で予想株価収益率(PER)は16倍台と、値ごろ感もうかがえます。ただ、予想PERの分母に当たる利益が問題。ブルームバーグ・インテリジェンスによれば、アナリストは同構成銘柄の利益が今年10%余り拡大すると見込んでおり、年初時点の8.7%増よりもなお強気です。来月の決算シーズンで企業が業績に暗い見通しを示せば、アナリストも予想を下方修正せざるを得ず、値ごろ感は薄まる可能性があります。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
下方修正続く
ウォール街のアナリストは世界的な大手テクノロジー企業の一部について業績見通しを引き下げ始めており、29日にはJPモルガン・チェースがツイッターなどインターネット企業26社の業績見通しを下方修正した。コスト急騰や金利急上昇で巨額の時価総額が消失したにも関わらず、過去何カ月にもわたって多くの大手企業の見通しは維持されてきた。しかし、来月から始まる決算シーズンを控え、アナリストは楽観的な見方を後退させ始めている。低調な利益を予想している多くの投資家に近づく形だ。
可能だが難しい
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は米経済が「力強い状態」にあり、労働市場を維持しながらインフレを2%に低下させることができると述べ、経済の軟着陸は可能だとの見解を改めて示した。家計と企業の財務状況も力強い状態にあり、「米経済全般が金融引き締めに十分耐えられる状態だ」とし、「成長率がプラスを維持できると期待している」と話した。しかし、ウクライナでの戦争に言及し、「この数カ月に起きた事象は、状況を著しく難しくした」と述べ、食品やエネルギーなどのインフレ圧力を大きく高めたと認めた。
予想外に鈍化
ドイツ連邦統計局が発表した6月の消費者物価指数(CPI)上昇率は、欧州連合(EU)基準で前年同月比8.2%と、予想(8.8%)に反して鈍化した。燃料税引き下げや公共交通機関の料金割引といった措置が、物価上昇の抑制に寄与した。ただ、基調的なインフレ圧力は高止まりする公算が大きいと、ベレンベルクのエコノミスト、ザーロモン・フィードラー氏は指摘した。
5年ぶり
日米韓3カ国の首脳はスペインのマドリードで開かれた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議にあわせて5年ぶりに会談。北朝鮮対応での協力を一層推進していくことで一致した。前日には岸田首相と韓国の尹錫悦大統領が夕食会で数分間会話したと日韓両政府が明らかにした。首相は日韓関係の修復に尹大統領が取り組むことを望んでいると表明。尹大統領は、日本の参院選が終われば速やかに二国間問題を解決し、より「未来志向の」道筋に踏み出す用意があると述べたという。
下値余地も
仮想通貨に対する売りが勢いを増した。ソラナなどDeFi(ディーファイ、分散型金融)トークンが、業界の先導役であるビットコインよりも大きく下落。仮想通貨ヘッジファンド、スリー・アローズ・キャピタルが経営難に陥っていることを受けて、波及懸念が高まった。ビットコインはほぼ1週間ぶりに2万ドルを割り込んだ。ファンドストラットのマーク・ニュートン氏は28日のリポートで1万2500-1万3000ドルまで下落する余地があるとの見解を示した。
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