[東京 14日 ロイター] – 政府は14日の経済財政諮問会議で、2022年度後半のマクロ経済政策運営の課題を議論し、世界経済の減速が見込まれるなか、国内投資の重要性や円安メリットの活用などの必要性を指摘した。新たな経済・財政計画の改革工程を策定する。
諮問会議の開催は今年11回目だが、参院選後では初めて。ウクライナ情勢やインフレ、利上げなどにより2023年の世界経済成長率がIMF試算で2.9%程度と、22年見通しの3.2%から減速する見通しを前提に、円安・資源価格高騰で交易条件が悪化するなかでの課題が列挙された。
岸田文雄首相は会議終了前のあいさつで「世界経済の減速リスクを視野に入れつつ、重点分野へ投資を官民連携で推進し、(看板政策の)『新しい資本主義』を前に進めるための総合経済対策を来月中に取りまとめる」と語った。今後のマクロ経済運営に当たっては、輸入価格の上昇による海外への所得流出が続く状況を抑制していく必要があるとも指摘した。
首相は、成長と分配の好循環の実現には官民連携の投資と中間層の拡大が鍵だ、と強調。そうした好循環を持続的に拡大し、成長と財政規律を両立させることも重要だと述べた。
会議では民間議員から、課題として、官民の投資による分厚い中間層の維持・拡大、円安メリットの活用策としてインバウンドのコロナ前水準回復や輸出振興、電力の安定供給などが提唱された。
また2%程度の持続的・安定的な経済成長が実現できれば財政健全化が可能になるとして、安全保障の強化や少子化対策に対する大胆な財政支出の必要性を強調した。
財政健全化目標を堅持しながら、どのような道筋で財政規律を確保するか、多年度にわたる経済財政フレームを明確化すべきとしている。
具体的な個別の政策課題として、1)企業向け支援から個人向け支援へのシフト、2)マイナンバーの利便性を実感できるデータ搭載や預貯金口座との関連付け、低所得世帯向けプッシュ型給付、3)再エネ価格の低下やサステナブルファイナンス市場の拡大、4)若年世代の賃上げ、5)防衛生産・技術基盤の維持・強化、6)医療・介護のデジタル化、7)老朽化が進むインフラのマネジメント─などを挙げた。
(竹本能文、杉山健太郎 編集:石田仁志、青山敦子)