[東京 6日 ロイター] – トヨタ自動車は6日、電気自動車(EV)「bZ4X」の生産を再開した。定額制のみで販売する国内受注は26日から再開する。前田昌彦副社長が6日のオンライン取材で明らかにした。bZ4Xは急旋回などでタイヤが外れる恐れがあるとしてリコール(無償回収・修理)を6月23日実施。発売後約1カ月で生産・販売を中止していた。

トヨタは原因が判明し改善対策が決まったため、ボルトを原因とするリコールを再び国土交通省へ6日提出。このほか、新たにカーテンシールドエアバッグにも不具合が見つかり、追加でリコール原因を届け出た。事故はいずれの不具合でも起きていない。

bZ4XはトヨタとSUBARU(スバル)が共同開発した中型スポーツ多目的車(SUV)タイプのEV。スバルは車名「ソルテラ」として販売。両社にとって初の量産型EVで、世界戦略車でもある。リコール対象は全世界で、bZ4Xが約2700台(このうち国内は約100台)、ソルテラが約1600台(国内は約100台)。

トヨタの前田副社長は陳謝し、リコール費用や業績への影響は「具体的には言えない」とした。初年度5000台としていた国内販売計画は、半導体不足などによる生産調整も重なり「見直しが必要」と述べ下方修正を示唆したが、具体的な台数の言及は控えた。米国といった海外での販売再開の時期は「これから販売店と配車計画を考える」という。

bZ4Xでは、部品点数を減らして軽量化するため、ナットを使わずボルトだけでタイヤを取り付ける「ハブボルト」と呼ぶ部品を採用していた。タイヤのディスクホイール加工とハブボルトの仕様が不適切で、急旋回などを繰り返すとこのボルトが緩む可能性があった。そのまま走行を続けると最悪の場合、タイヤが脱落する。

改善措置として、全車両のハブボルト、日米など一部市場向け車両はディスクホイールの対策品をそれぞれ交換する。

エアバッグは、展開補助用ストラップが正しい位置に組み付けられていないものがあり、作動時に正常展開できず、最悪ケースでは乗員が負傷する恐れがある。他の車種で同様の問題が見つかり、bZ4Xでも調査して発覚。全車両でストラップの組み付け状態を点検し、不適切なものは修正する。

bZ4Xとソルテラはトヨタの元町工場(愛知県豊田市)で生産し、国内では5月12日に販売を開始。トヨタはグループ会社のKINTO(キント、名古屋市)を通じて定額制サービスのみで受注し、スバルは売り切り販売をしていた。