[台北 10日 ロイター] – 台湾の蔡英文総統は、「中華民国建国」を記念する双十節(建国記念日)の10日に演説し、台湾と中国の戦争は「絶対に選択肢にない」と述べ、北京と対話する意向を改めて示した。その一方で防衛力は強化する方針を示した。
台湾は、自国の一部と見なす中国から軍事的・政治的圧力を受け続け、特にペロシ米下院議長が台湾を訪問して以降は中国の威圧的行動が強まっている。
蔡総統は、中国が威嚇をエスカレートさせ、台湾海峡と地域の平和と安定を脅かしていることは「遺憾」と表明。「中国当局に対し、武力衝突は双方にとって絶対に選択肢にないことを明確にしたい」と述べた。
その上で「われわれの主権、民主、自由へのコミットメントを尊重してこそ、台湾海峡を挟んだ建設的交流を再開する基盤ができる」と指摘。新型コロナウイルス禍を乗り越え、中国との健全で秩序ある人的交流が徐々に再開し緊張が和らぐことに期待を示す一方で、台湾の主権と自由で民主的な生活様式は守らなければならないというのが広範なコンセンサスで、「この点で、私たちに妥協の余地はない」と述べた。
<防衛力強化>
蔡総統は、防衛力強化を政権の中核に据えている。演説では、台湾は自らの防衛に責任を持つことを世界に示すことになる、とした。
台湾は精密ミサイルや高性能艦艇の量産を拡大し、小型で機動性の高い兵器の確保に取り組んでおり、「外部の軍事的脅威」に対応する準備を万全と説明した。
<半導体の安保リスク>
台湾海峡情勢の緊張で、特に米国では半導体の製造拠点が台湾に集積していることへの不安がでている。
蔡総統は「台湾に半導体部門が集中していることはリスクでない」と強調。「最先端の半導体製造プロセスにおける台湾の優位性と能力を維持し続け、半導体の国際サプライチェーンの再構築を最適化を支援し、台湾の半導体企業がさらに重要な役割を果たすようにする」と述べた。