[ベルリン ９日 ロイター] – ドイツのニーダーザクセン州で９日行われた州議会選挙では、ショルツ首相率いる社会民主党（ＳＰＤ）が勝利したが連立を組む自由民主党（ＦＤＰ）は議会入りできなかった。

ＳＰＤへの支持を示す結果だが、緑の党とともに連立を組むＦＤＰが敗れたことでショルツ政権の不安定化につながる危険性があるとの見方がでている。

極右政党の「ドイツのための選択肢（ＡｆＤ）」も躍進した。インフレ高進にあえぐ家計の不満の高まりを反映している。

中道左派のＳＰＤや緑の党とは相容れない企業寄り政党のＦＤＰは、選挙結果は「打撃」として連立参加が敗北の一因があると指摘。リントナー党首（連邦財務相）は、「支持者の多くが連立によって疎外感を感じている」と述べた。

専門家はショルツ連立政権の不安定化を指摘。ハノーバー大学の政治学者フィリップ・コーカー氏は「ＦＤＰは今後、そぐわない政策を支持する可能性がかなり低くなる。このため連立政権は野党に支持を求める可能性がある」と述べた。

暫定結果によると、ＳＰＤの得票率は３３．４％。２０１７年の前回選挙からは３．５ポイント低下した。ＦＤＰはわずか４．７％で議会入りの基準である５％に届かなかった。ＡｆＤは１０．９％とほぼ倍増した。

アナリストによると、３期連続で当選したニーダーザクセン州のワイル首相の人気もＳＰＤへの追い風となった。

ＺＤＦの出口調査では、緑の党の得票率は前回１７年より５．８ポイント多い１４．５％となった。これによりＳＰＤはニーダーザクセン州で大連立政権を組む右派政党と決別して緑の党と連携する可能性が出てきた。