ウクライナのゼレンスキー大統領は16日のビデオ声明で、ロシア軍が全域の制圧を目指す東部ドネツク州の要衝バフムト周辺で「非常に激しい戦いが続いている」と明らかにした。ウクライナメディアが伝えた。ゼレンスキー氏は、バフムト方面に展開する露軍部隊に、刑の恩赦と金銭的報酬を約束された囚人2千人が含まれていると指摘。「ロシアがテロ国家である証拠だ」と述べた。
バフムト方面は、ドネツク州の要衝リマンから撤退するなど劣勢に立つ露軍が攻勢を維持する数少ない戦線の一つ。露軍はバフムトを掌握し、北西に位置する同州の中心都市スラビャンスクやクラマトルスクの制圧を狙っている。一方のウクライナ軍はリマンから東進し、隣接するルガンスク州の要衝スバトボとクレメンナヤを奪還する構えだ。
露国防省は16日、リマン東方を流れるジェレベツ川の渡河を試みたウクライナ軍を撃退したと発表。タス通信によると、ルガンスク州の親露派勢力は同日、スバトボとクレメンナヤ方面に前進を試みたウクライナ軍部隊に9割の損害を与えたと主張した。一方、「今後数日間で再びウクライナ軍が再攻勢をかける可能性がある」とも述べた。