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 「一票の格差」が最大で3・03倍となった7月の参院選をめぐり、弁護士グループが「投票価値の平等を定めた憲法に違反する」として、東京など11選挙区の選挙の無効を求めた訴訟の判決が18日、東京高裁であった。渡部勇次裁判長は「違憲状態」との判断を示した。選挙無効の請求は棄却した。

 二つの弁護士グループが全国14の高裁・高裁支部に計16件の訴訟を起こし、判決は2件目。1件目となった今月14日の大阪高裁判決は、「国会の格差是正の姿勢は著しく弱まっている」として、違憲の一歩手前の「違憲状態」と判断した。

 今回の参院選で、選挙区の一票の格差は、定数1あたりの有権者数が全国で最も少ない福井選挙区(約31万8千人)に対し、最も多い神奈川選挙区(約96万2千人)が3・03倍だった。神奈川での1票の価値は「0・33票」だった計算になる。

 高裁判決は11月15日までに出そろい、最高裁が来年にも統一判断を示す見通しだ。

 最高裁は、最大格差が5・00倍だった2010年、4・77倍だった13年の参院選を「違憲状態」、3・08倍だった16年、3・00倍だった19年の参院選は「合憲」と判断している。(田中恭太