- NY市場で円安再加速、英首相が辞意、4%「大きく上回る」米金利
- 利上げに「節目」とサマーズ氏、ブラード総裁FRB倫理規約違反か
英保守党党首選が終盤戦を迎えた7月、トラス氏はテレビ討論でイングランド銀行(英中央銀行)への批判を展開する中で、「インフレ抑制に最も成功している」として日本銀行を称賛しました。シティグループの英国担当チーフエコノミスト、ベン・ナバロ氏は7月18日のリポートでトラス氏の政策綱領が「経済的な観点から最も大きなリスク」を呈すると指摘。「プロシクリカルな減税と政府機関への揺さぶりが不適切に組み合わされている」と解説しました。英国の混沌(こんとん)は3カ月前に予想されていたようです。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
円安加速
ニューヨーク時間午後の外国為替市場で、円が再び1ドル=150円台に下げ、1990年以来32年ぶりの安値をまた更新した。日本当局による再度の円買い・ドル売り介入が入る可能性に警戒が強まっている。ニューヨーク時間午後2時過ぎの円は1ドル=150円29銭まで下落した。INGの通貨ストラテジスト、フランチェスコ・ペソル氏は「150円を一気に上抜けるのを放置すれば、日本当局がそもそも避けようとしていた円安方向へのボラティリティー拡大となりかねない。今こそ介入せざるを得ないだろう」と語った。オプション市場は再度の円買い介入に市場が備えていることを示唆する。短期的な円反転に賭けるポジションが積み上がりつつある。
最短記録
トラス英首相(47)が就任からわずか44日で辞意を表明した。在任期間は英国で歴代最短になるとみられる。大型減税計画は市場に大混乱をもたらし、トラス政権はその大半で撤回を迫られた。与党・保守党は10月28日までの後任選出を目指し、それまで同氏は首相職にとどまる意向。後任候補とみられているのはスナク元財務相など。政府は予定通り今月31日に財政計画を発表できる見通し。世論調査によれば、政党支持率で保守党は最大野党・労働党に30ポイント以上の差を付けられている。ジョンソン前首相が保守党党首選に立候補する見通しだと、英タイムズ紙は情報源を明らかにせずに報じた。
ロケットと羽毛
フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は、米金融当局はインフレに対応するために4%を「大きく上回る」水準まで金利を年内に引き上げ、景気抑制的な水準で維持する可能性が高いと指摘。必要に応じて、一段の行動をとる可能性も残した。「インフレ抑制で進展が不十分という率直に残念な状況を踏まえれば、金利は年末までに4%を大きく超えると私は見込んでいる」と述べた。「インフレはロケットのように急上昇して、羽毛のように下がると知られている」と話した。
一種の節目
サマーズ元米財務長官はフェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込む政策金利のターミナルレート(終着点)が5%を超えたとツイッターで指摘、「一種の節目」だと述べた。1年半で400ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)を超えて上昇したことは、「今のサイクルでみられる最大幅の上昇になることは間違いない」と述べた。米政策金利に対する市場の観測を示すオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場では、金利が2023年上期に5%に達し、そこがピークになるとの見方を織り込んだ。予想されるピーク水準はこれまでで最も高い。
倫理規約
米セントルイス連銀のブラード総裁が14日に、シティグループが主催した招待者限定の非公開イベントで講演したと報じられた。連邦準備制度理事会(FRB)ウオッチャーらは、この行為がFRBの意思伝達ルールに違反した可能性があるとみている。今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で議決権を持つブラード総裁は、このイベントで金融政策や経済について講演したと、ニューヨーク・タイムズ紙が報じた。同紙に対し、セントルイス連銀の報道官はブラード総裁が講演の報酬を受け取っていないと述べた。
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