【台北時事】台湾で26日に投開票された統一地方選は、与党・民進党が県市の首長ポストを減らし、大敗を喫する結果となった。蔡英文総統は兼務していた同党主席(党首)を引責辞任。選挙結果を受け、2024年の総統選の候補者選びが活発化する中、蔡氏の影響力の低下は避けられない見通しだ。
統一地方選は4年に1度実施され、26日は12月に延期された1市を除く21県市で投票が行われた。民進党は選挙前の7ポストを5ポストに減らし、「結党以来最低」(台湾メディア)の惨敗に終わった。最大野党・国民党は1ポスト増。
外交・安全保障政策より暮らしに直結する経済や福祉政策が焦点となる地方選は、与党不利の傾向がある。今回も民進党の苦戦が予想されていたが、総統府関係者は「負け過ぎだ。次の総統選は危ない」と危機感をあらわにした。
蔡氏は26日夜、「すべての責任を取らなければならない」と陳謝。現在2期目の蔡氏は次期総統選に出馬できないが、安定した支持率を背景に、後継者選びを主導するはずだった。しかし、地方選の敗北を受けて党首辞任に追い込まれ、求心力の低下は必至だ。
台湾メディアでは、南部・高雄の市長に再選された陳其邁氏が新党首選出まで党首代理を務めると取り沙汰されている。新党首には、頼清徳副総統が有力だ。
一方、中心都市・台北市長のポストを8年ぶりに奪還し、総統選へ弾みを付けた国民党でも、候補者選びを巡る駆け引きが激しくなりそうだ。現職の朱立倫主席(党首)に加え、今回圧倒的な得票差で再選を決めた新北市長の侯友宜氏を有力視する向きもある。
台北市長に当選した蒋介石・元総統のひ孫に当たる蒋万安・前立法委員(国会議員)も将来の総統候補として期待がかかるが、政治手腕は未知数で、市長の任期途中となることから出馬の可能性は低いとみられている。
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