[ブリュッセル 30日 ロイター] – 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は30日、対ロシア制裁措置に基づき凍結されたロシアの資金を運用して得た収益をウクライナ支援に充てる計画を発表した。
欧州委員会のフォンデアライエン委員長は声明で「ロシアは自らが引き起こした破壊に対して金銭的な補償を行わなければならない」とし、「ウクライナが被った損害は6000億ユーロと試算される。ロシア政府、および(プーチン政権を支える)オリガルヒ(新興財閥)はウクライナに損害を賠償し、再建のための費用を負担する必要がある」と述べた。
欧州委当局者によると、主に現金で構成される中央銀行の資産を運用する基金を設立し、その収益をウクライナ支援に充てる案が挙げられている。制裁解除時に資産は保有者に返還され、こうしたスキームは和平合意の一部となる可能性があるとしている。
当局者は「簡単なことではなく、国際社会からの強力なバックアップが必要だが、実施可能だと考えている」と述べた。
EUや米国などの西側諸国は、ロシア中央銀行の資産(約3000億ドル)と制裁対象のロシア人の資産(200億ドル)を含む凍結されたロシア資産をウクライナのために利用できないか検討。欧州委当局者は、ロシア中銀の資産を巡り米政府と「初期の段階」の折衝が行われたと明らかにし、この件について12月に主要7カ国(G7)タスクフォースに提示されると述べた。