[シンガポール 8日 ロイター] – 中国は、ロシア産ESPO(東シベリア太平洋)原油を過去数カ月間で最も割安な価格で購入している。需要の不振や精製マージンの低迷が背景にある。ただ、製油業者が支払う実効価格は米欧諸国が今週発動したロシア産原油の上限価格(1バレル=60ドル)を超える可能性がある。
中国の独立系製油業者は、ESPOの主要な買い手となってきた。しかし、新型コロナウイルス流行を徹底的に封じ込める「ゼロコロナ」政策で景気が鈍化し、原油需要も減退した。
事情に詳しい4人の貿易業者によると、12月到着のESPOカーゴ少なくとも1隻が先週、仕向港着船渡し条件(DES)ベースで米インターコンチネンタル取引所(ICE)の北海ブレント2月きりに対し、バレル当たり6ドル割り引いた価格で、独立系製油業者1社に売却された。
3週間前は、ブレントに同約1.80ドル上乗せした価格で取引されていた。現在のブレント価格から算出すると、6ドルのディスカウントでは運賃・保険料込みで1バレル=68ドルになる。
ライスタット・エナジーのアナリストらは、ロシア産原油の上限価格発動で、中国、インド、トルコの交渉力が強まる可能性があると指摘する。
多くの独立系製油業者が集まる山東省では、ESPO原油とイラン産原油との価格競争が激化している。イラン産原油は先週、ICE北海ブレントに対し、約10ドルを割り引いた価格で取引された。 タンカー追跡調査会ボルテクサ・アナリティクスは、中国のイラン産原油輸入は11月に470万トン近くに達し、月間輸入量としては過去最高になったかもしれないと話している。