【ニューヨーク時事】カナダのトルドー首相は11日、カナダ北西部の領空を侵犯した「未確認物体」を撃墜したと明らかにした。米国とカナダが共同運営する北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)が緊急発進(スクランブル)して対応。米軍のステルス戦闘機F22が撃墜した。
中国が世界各地に飛ばしているとされる偵察気球との関連など、物体の詳細は不明。今後、物体の残骸を回収し、飛行目的などを分析する。
記者会見したカナダのアナンド国防相によると、物体は「円筒型」で、高度約1万2000メートルを飛行。民間航空機の安全に影響が出ると判断し、11日午後3時40分(日本時間12日午前5時40分)ごろ、北西部ユーコン準州上空で撃墜した。
米ホワイトハウスも声明を出し、米加両軍の勧告を受け、トルドー氏とバイデン米大統領が撃墜を許可したと発表した。米国防総省によれば、10日夜遅くにアラスカ州上空で探知。追跡を続け、F22が空対空ミサイル「サイドワインダー」で撃ち落とした。
トルドー、バイデン両氏は11日午後に電話会談。互いの領空の防衛のため「緊密な連携を続ける」ことで合意した。
北米上空を飛行する物体が撃墜されるのは、今月に入って3例目。米軍は4日、中国の偵察気球を南部サウスカロライナ州沖合で撃墜。中国政府は「気象研究用」だったと主張し、激しく反発している。
10日にはアラスカ州上空で「小型車ほどの大きさ」の飛行物体を撃ち落とし、米当局が回収を進めている。