【ニューヨーク時事】欧米メディアは10日、次期日銀総裁に元日銀審議委員の植田和男氏が起用される人事が固まったことについて、事前に名前が挙がっていた候補者ではなく、「驚きの選出」(米ブルームバーグ通信)と報じた。「日銀で尊敬を集める現実主義者」との受け止めもあった。
緩和路線「継続」見方広がる 植田氏起用、事前予想なく―政府・与党
海外市場では、大規模な金融緩和を続ける日銀の急激な政策転換に対する警戒感が根強い。ただ、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは「かつて審議委員としてゼロ金利政策を支えた」と紹介。現行の政策を継続するとの植田氏の発言が伝わると、安心感が広がった。
ブルームバーグは植田氏が審議委員時代に、執行部がゼロ金利解除に動く中で反対票を投じた経緯に触れ、「政策決定の重要な節目では、歴史を振り返ると正しい場所にいた」と評した。英紙フィナンシャル・タイムズは、植田氏に近い人物の話を引用し「思慮深い」と分析した。
一方で、市場での知名度不足を指摘する声も。ブルームバーグは「植田和男とは誰だ?」と情報収集に走る市場関係者の様子を報道。「今週末は日銀による次の金融政策の動きを探るため、植田氏について調べることになるだろう」と報じた。