- 日銀総裁指名の植田和男氏はMITのフィッシャー氏門下生
- 金融経済でバーナンキ元FRB議長と同じ分野が専門
岸田文雄首相が日本銀行の黒田東彦総裁の後任に指名した経済学者の植田和男氏について、サマーズ元米財務長官は10日、「日本のベン・バーナンキだと考えてもいいだろう」と評した。
サマーズ氏はブルームバーグテレビジョンの番組「ウォールストリート・ウィーク」で植田氏について、バーナンキ元連邦準備制度理事会(FRB)議長とほぼ同じ時期に米マサチューセッツ工科大学(MIT)で学び、論文の指導者も同じだったと指摘。「金融経済の同じような分野を専門とし、穏やかな学問的話し方をするが、決断力もある」と述べた。
植田氏とバーナンキ氏、サマーズ氏、欧州中央銀行(ECB)のドラギ前総裁は、FRB副議長やイスラエル中銀総裁を務めた著名経済学者スタンレー・フィッシャー氏の教え子という共通のバックグラウンドがある。
オーストラリア準備銀行のロウ総裁もフィッシャー氏が教授を務めていた時代にMITで博士号を取得。豪準備銀の副総裁を務めたガイ・デベル氏はフィッシャー氏が指導した最後の大学院生だった。イングランド銀行(英中銀)のキング元総裁はMITで教えていた時、バーナンキ氏の隣にオフィスがあった。
14日に見込まれる日銀人事案の提示後、衆参両院で承認されれば、植田氏は4月に新総裁に就任する。フィッシャー氏の門下から中銀総裁がもう一人誕生することになる。
植田氏は1980年にMITで博士過程を修了した後、主にアカデミックな道を歩み、日銀審議委員を7年間務めた。
サマーズ氏は「日本では極めて複雑な問題が待ち受けている。イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策をいつまでも維持することはできないと思う」と語り、「植田氏の能力が試されることになる」と指摘した。
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原題:‘Japan’s Ben Bernanke’ Shows MIT’s Sway, With Ueda Eyed for BOJ(抜粋)