【ソウル時事】日韓両政府が元徴用工問題を巡り、被告企業の賠償を肩代わりする韓国の財団への日本企業の寄付を見送る一方で、日本の経団連と韓国の全国経済人連合会(全経連)が共同で若者のための基金をつくる方向で調整していることが分かった。韓国側の関係筋が5日、明らかにした。
「過去より未来」訴え 懸案難航、世論の理解に苦心―韓国大統領
韓国政府は6日に元徴用工問題の解決策を発表する見込みで、基金案にも言及するとみられる。金聖翰国家安保室長は5日、記者団に「韓日関係が新しい時代を迎えるためには未来世代が最も重要だ。若者、未来世代がどういう役割を果たせるのかに関して、両国の経済界など多様な分野で寄与する方策を協議中だ」と述べた。
韓国政府は1月、既存の公益法人「日帝強制動員被害者支援財団」が被告企業の賠償を肩代わりする案を公表。その上で、日本政府の謝罪と財団への日本企業の寄付を求めていた。
謝罪については、日本政府が「痛切な反省と心からのおわび」を明記した1998年の日韓共同宣言などこれまでの立場の継承を表明する方向だ。しかし、賠償的性格を帯びる日本企業の財団への寄付は、元徴用工問題は65年の日韓請求権協定で解決済みとする日本側が難色を示した。