- 米監督当局者の証言、アリババ6分割計画、仏銀捜査
- 米消費者信頼感が予想外の改善、エコノミスト調査
米金融監督当局のトップが上院銀行委員会で証言し、銀行セクターの規制改革案の概要を示しました。野党共和党は最近の銀行問題が発生する前から規制強化に反対していたため、反発が予想されます。中国の国営新華社通信は3月の分析記事で、米国の銀行不安は政治的内紛と不十分な金融規制が原因だと批判していましたが、与野党の対立は民主主義には付き物。一党支配のトップダウン方式よりも実施に時間がかかるかもしれませんが、適切な規制の度合いを巡って議論が活発化しそうです。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
規制強化
米連邦準備制度理事会(FRB)のバー副議長(銀行監督担当)は「シリコンバレー銀行(SVB)の破綻は、銀行システムのレジリエンス改善に向けた取り組みを前に進める必要性を浮き彫りにした」と証言。連邦預金保険公社(FDIC)のグルーエンバーグ総裁も「1000億ドル(約13兆円)を超える資産を抱える銀行が金融安定に及ぼし得る影響を明確に示した」と発言した。新たな規制案は正式に提示された時点で、共和党から一斉に反対される見通しだ。共和党議員はSVBが破綻する前から、銀行業務を制約しかねない資本規制の強化を進めないようFRBに圧力をかけていた。
6分割
中国のアリババグループは2200億ドル(約29兆円)規模の同社事業を電子商取引やメディア、クラウドなど6つの主要部門に分割する計画だ。各部門は適切な時期に資金調達や新規株式公開(IPO)を検討する。この分割はアリババにとって20年余り前の創業以降で最大規模の改革となる。分割によって各部門の独立性は大きく高まり、将来のスピンオフやIPOに道が開かれる。アリババの発表は、1年余り国外で過ごしていた共同創業者で富豪の馬雲(ジャック・マー)氏の帰国と時期を同じくした。アリババの米国預託証券(ADR)は急伸した。
仏銀捜査
ソシエテ・ジェネラルやBNPパリバなどの銀行が配当に関連する税逃れやマネーロンダリング(資金洗浄)を巡りフランス検察当局から調査を受けており、計10億ユーロ(約1415億円)超の罰金を科される可能性がある。当局によると、英HSBCホールディングスや仏ナティクシス、BNPのエクサン部門も捜査対象になっており、罰金にはペナルティーと未払い利息が含まれる。捜査は配当のアービトラージ戦略に関連するもので、この戦略では株主が配当課税を回避するために海外に拠点を置く投資家に短期間株式を譲渡する仕組みだ。
銀行問題の影響なし
米民間調査機関のコンファレンスボードが発表した3月の米消費者信頼感指数は、予想に反して改善した。景気や労働市場の先行きに関して楽観的な見方が強まった。今後6カ月の見通しを反映する期待指数は上昇した。一方、現況指数は低下した。調査はSVB破綻から1週間余りが経過した3月20日までの回答が基になっており、銀行不安は今のところ、消費者信頼感にほとんど影響していないことがうかがえる。
リセッション予想強まる
継続的な米利上げと複数の銀行破綻で信用状況がさらに引き締まるリスクが増す中で、米国がリセッション(景気後退)に陥るとの予想が1カ月前よりも高まっている。ブルームバーグが20-27日実施した月例のエコノミスト調査によると、向こう12カ月に景気後退に入るとの予想は全体の65%と、2月の60%から上昇した。SVBを含む複数の銀行が破綻する中で48人が回答した。個人消費支出(PCE)価格指数の伸びについて、エコノミストは24年7-9月(第3四半期)まで全四半期の予想を引き上げた。
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