[東京 7日 ロイター] – トヨタ自動車は7日、電気自動車(EV)について、2026年までに10車種を投入して年150万台とする販売計画を発表した。従来から公表している30年までに年350万台とする販売目標は変えず、その通過点として26年の計画を示した。次世代のEVのための専任組織も新設した。

4月1日に就任した佐藤恒治社長は会見で、各地域のエネルギー事情などに応じてハイブリッド車(HV)や燃料電池車(FCV)などの多様な選択肢を用意する全方位戦略を維持した上で、「重要な選択肢であるバッテリーEVは今後、数年でラインアップ(品ぞろえ)を拡充する」と述べた。

26年までのEV展開は、先進国で同社の量産EV専用モデル「bZ」シリーズの性能を強化して品ぞろえを拡大する。米国では25年に現地生産する3列のスポーツ多目的車(SUV)、中国では24年に現地で開発した2車種を追加する。新興国では小型車、タイで試作車を披露済みのピックアップトラックを投入する予定だ。

EV専任組織については、全権を握るリーダーを1人置き、開発から生産、事業まですべてを統括。開発の原単位と内製の投資を従来の半分に抑えることを目指す。会見に同席した中嶋裕樹副社長は「(年間販売)1000万台の力で新しい組織を全面的にサポートする」と語った。

生産ラインも効率化する。工程数を半減し、無人搬送や自律走行検査などを導入。中嶋氏は「工場の景色をがらっと変える」と述べた。26年までに投入すると表明している次世代EVは電池効率を改善して航続距離を2倍にすると説明した。

自動車業界の調査を行うS&Pグローバルモビリティの川野義昭アソシエイト・ダイレクターは、トヨタの26年までのEV年間販売計画について、今回の発表前に川野氏らが予測した数値に比べて約30万台足りなかったが、「全く達成でできないという感じはなさそうだ」と話した。

トヨタがこれまでに発売したEVは、高級車ブランド「レクサス」の「UX」と「RZ」、bZシリーズ第1弾の「bZ4X」。中国では専用モデル「bZ3」を発表し、一部の販売店で予約受付を始めている。

トヨタの22年のEV販売は2万4466台。一方、EV専業で最大手の米テスラは約131万台だった。SBI証券の遠藤功治シニアアナリストは、テスラが26年にはトヨタの目標とする150万台以上を販売しているとみており、株式市場では「自動車のベンチマークとなる会社がトヨタからテスラに移って久しいが、トヨタは当面抜き返せないだろう」との見方を示した。